開業する個人事業主のやることリスト基本版!経費化の方法も解説

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個人事業主が開業する際は、さまざまな手続きがあるため、やることリストを作成して漏れなく準備をすることが大切です。

開業準備に不備があると、節税効果が少なくなったり、最悪の場合は営業できなかったりします。

この記事では、個人事業主のためのやることリストと必要なものリストを紹介します。

この記事を読めば開業に必要な準備は、ほぼ完了させられるので、ぜひ最後まで読んでください。

開業する個人事業主のやることリスト

  1. 国民年金への加入

  2. 国民健康保険への加入

  3. 開業届の提出

  4. 青色申告承認申請書の提出

  5. 許認可の申請

  6. 創業融資の申し込み

  7. インターネット回線の開設


開業時に必要なもの

  1. パソコン

  2. 会計ソフト

  3. 事業用の銀行口座

  4. 事業用のクレジットカード

  5. 名刺

  6. SNSのアカウントやホームページ

個人事業主のやることリスト(開業時)

会社を辞めて個人事業主やフリーランスになる際には、多くの準備や手続きが必要となります。ここでは、事業を始めるまでに必要な準備について解説します。

国民年金への加入


会社員は厚生年金に加入していますが、個人事業主になると基本的には国民年金へ加入することになります。
国民年金に加入するには、退職日から14日以内に、市区町村役場で手続きをする必要があります。
会社員の厚生年金は収入により支払う保険料が増減しますが、国民年金は収入に関わらず一律16,590円(月額)です。
会社員の厚生年金に比べると、国民年金は将来もらえる年金が少なくなります。老後の資金を確保するには国民年金をあてにせず、iDeCoや小規模企業共済などを活用するといいでしょう。

関連記事:フリーランスの老後を豊かにするための年金対策!加入手続きやいくら貰えるのかも解説

国民健康保険への加入


会社員は社会保険(健康保険)に加入していますが、個人事業主になると国民健康保険に切り替える必要があります。国民年金と同じく、退職日から14日以内に市区町村役場で手続きをしてください。
ただし、任意継続といって退職後2年間は会社員時代の健康保険に加入し続けられる制度があります。
任意継続は会社が負担していた保険料も自分で支払うもので保険料が2倍になりますが、個人事業主としての収入が多い方は国民健康保険よりも割安となる可能性があります。
保険料は自治体によって異なるため、それぞれをしっかりと検討して、どちらにするか決めてください。

関連:フリーランスのための健康保険ガイド!加入手続きや必要書類も分かりやすく解説

開業届の提出


個人事業主になるには、税務署に「開業届」を提出する必要があります。提出期限は事業を開始した日から1か月以内と定められています。
開業届のフォーマットは、国税庁のサイトからダウンロードするか、最寄りの税務署で受け取れます。
開業届はこの後説明する青色申告の承認を受ける際に必要となる書類なので忘れずに提出しましょう。その他にも、屋号で銀行口座を作成したり、融資を受けたりする際などにも必要です。

関連記事:【開業届とは】必要書類や提出方法などを解説

青色申告承認申請書の提出


開業届を提出する際には、一緒に青色申告承認申請書の手続きもおこなっておきましょう。
青色申告の承認を受けると、確定申告時に最大65万円の「青色申告特別控除」を受けられます。
青色申告では複式簿記で帳簿を作成しなくてはならないデメリットがありますが、会計ソフトの性能が高まっているので以前に比べると手間は格段に減っています。
青色申告は節税効果が非常に高いため、個人事業主を続けていくのであれば必ず申請したい制度です。
青色申告承認申請書は、国税庁のホームページからダウンロードするか、最寄りの税務署の窓口で受け取れます。
提出期限は「青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで」と定められていますが、開業した年については開業日に提出すれば問題ありません。

許認可の申請


事業の内容によっては、許認可が必要なことがあります。営業するのに許認可が必要な主な事業は以下の通りです。

・飲食店:営業許可(保健所)

・リサイクルショップ:古物商許可(警察署)

・お酒の販売:酒類販売業免許(税務署)

・美容室:営業許可(保健所)

・運送業:運送業許可(運輸局)

他にもさまざまな許認可が存在し、同じ業種であっても事業内容によって必要な許認可が異なる場合もあります。
開業準備などで忙しく許認可について調べる時間がない方は、専門家である行政書士に相談してみるといいでしょう。

創業融資の申し込み


開業のための資金が不足している方は、金融機関に創業融資を申し込みましょう。
創業融資は多くの金融機関が対応していますが、政府系金融機関である日本政策金融公庫がおすすめです。
日本政策金融公庫の創業融資は起業を応援するために、金利や保証料が低く設定されています。
日本政策金融公庫に創業融資を申し込むには、近くの支店に電話をするか、インターネットで連絡をします。
申し込みをする際に必要書類を伝えられるため、面談時に持参してください。
民間金融機関と比べると審査のハードルは低めですが、自分の事業について論理的に説明できるようにしておきましょう。

関連記事:



自己資金なしで起業するために融資は受けられる?方法と注意点を解説

公式サイト:日本政策金融公庫

インターネット回線の開設


ECサイトなどインターネットに関する業種でなくても、インターネット回線は必須と言えます。
得意先との連絡にはE-mailを使いますし、税務署へもオンライン経由で各種申請ができます。その他にも、競合製品の情報収集やオンライン商談などにも利用可能です。
インターネット環境がなくても仕事を進めることはできますが、かなりの手間と時間が必要となるため、効率化のためにもインターネット回線を開設しておきましょう。
経費を少しでも減らしたいという方は、スマートフォンのテザリング機能を使用すれば、携帯電話代金のみでインターネット環境を整えることもできます。

開業時に必要なものリスト

続いては、開業までに用意しておきたい、仕事をするうえで必要なものについて解説します。

パソコン


取引先との連絡や文書の作成・会計処理など、業務にパソコンは欠かせません。
屋外に持ち運んでカフェなどでも作業をするのであればノート型パソコンを購入し、事務所だけで使用するのであればコスパの良いデスクトップパソコンがおすすめです。
パソコンを購入するのに必要な予算は、何に使用するかにより異なります。
ワードなどのオフィスソフトで文書作成やインターネット閲覧をするだけであれば、スペックは低くても問題ないため、5万円程度の予算があれば大丈夫です。
ディスプレイを増やして作業効率を上げたり、動画を見ながらインターネット閲覧をしたりなど、負荷のかかる使い方をするのであれば、予算は10万円以上を確保したいところです。
動画編集やCADなどの3Dソフトを利用する場合は、パソコンの性能により作業速度が変わるため、目安として15万円以上の予算が必要となります。

会計ソフト


これから事業を始めようという人は、手書きでの経理処理ではなく、会計ソフトを使うことがほとんどです。
会計ソフトにはさまざまな種類がありますが、初心者の方には「クラウド型会計ソフト」がおすすめです。
クラウド型会計ソフトは、法令改正があっても常に最新の状態が保たれ、会計の知識がない初心者にもやさしい機能が満載されています。
例えば、銀行やクレジットカードの情報と連携すれば、自動で仕訳をおこなってくれるため、簿記の知識がなくても会計処理ができます。
また、領収書やレシートをスキャンや専用アプリで写真を撮れば、AIが自動で仕訳をする機能もあります。
事業を始めたばかりの頃は、経理をなるべく効率化して、本業に時間を注いで事業を成長させるべきです。
クラウド型の会計ソフトは、年額15,000円ほどの費用がかかりますが、短縮できる時間を考えるとお得だと言えるでしょう。

事業用の銀行口座


個人事業主は、プライベートの銀行口座をそのまま事業用として使う方もいますが、事業用の口座を作成すると会計処理が楽になります。
事業用の口座を作成すると、プライベート資金と分けられるのでお金の流れが明確になり、事業での利益と費用が簡単に判別できます。
開業届で屋号を設定していれば、屋号名義の口座の作成も可能です。
インターネットで申し込みが完結する金融機関もあるので、ぜひ事業用の口座を作成してください。

事業用のクレジットカード


銀行口座と同じく事業用のクレジットカードを作成しておくと、プライベートと事業用の資金を分けられます。
個人事業主になったばかりの方は、クレジットカードの審査に通らない可能性もあるため、安定した収入がある会社員時代に用意しておくといいでしょう。
また、仕入や交際費の支払いにクレジットカードを使用していれば、ポイントが貯まりやすいので、出張の交通費や宿泊代などに利用できます。
クレジットカードは月末締め翌月払いであることが多いので、支払いを遅らせることでキャッシュフローにも余裕ができます。
このように、クレジットカードにはさまざまなメリットがあるため、事業用のクレジットカードを用意して有効に活用しましょう。

名刺


完全にオンラインで仕事をするのであれば不要ですが、誰かと会う機会がある方は名刺を作成しておきましょう。
名刺には自己紹介の役割があるため、名刺を渡すことで素性がはっきりして取引相手に安心感を与えられます。
名刺には何を記載するのも自由ですが、基本的な項目は以下の通りです。

・氏名

・屋号

・住所

・メールアドレス、電話番号

・事業内容

これらの項目を記載しておけば、取引が終了した後も、名刺を見て追加で依頼をもらえる可能性が高くなります。
名刺の作成は、オンラインで注文・自分でデザインして印刷など、昔に比べて幅が広がりました。
費用を安く抑えたいのであれば、フリーソフトでデザインして自分で印刷するといいでしょう。

SNSのアカウントやホームページ


TwitterやインスタグラムなどのSNSやホームページは、個人事業主に限らずビジネスで集客をするのに欠かせないツールとなっています。
名刺にSNSやホームページのURLを載せておけば、取引相手に事業や製品についてより深く知ってもらえるでしょう。
また、ユーザーと直接的なコミュニケーションができるので、根強いファンを作ることも可能です。
ただし、単にアカウントやホームページを作成するだけでは集客できないので、ターゲットを絞り戦略を考えて運用することが大切です。

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開業のための費用の処理方法

個人事業主のやることリストを見ればわかる通り、開業までには多くの費用がかかります。

開業前にかかった費用は経費にできないと思っている方もいますが、事業に関係のある費用はすべて経費にできます。

具体的な処理方法は、まず開業前に発生した経費を「開業費」という繰延資産に計上します。例えば、開業費に10万円かかった場合の仕訳は以下の通りです。














借方 貸方
開業費 100,000 元入金 100,000


その後、5年間で均等償却するか、一括での任意償却も認められています。

開業した年に一括で償却するのであれば、12月31日に以下の仕訳をおこないます。














借方 貸方
開業費償却 100,000 開業費 100,000


この仕訳で、開業にかかった費用の経費化が完了します。

事業のために使用した費用であれば、ほとんどを開業費として計上できます。

パソコンの購入代金や名刺作成費用はもちろんのこと、各種届出を提出するために使った交通費なども計上可能です。

レシートや領収書などの証拠書類は必ず保管しておき、適切に開業費に計上してください。

個人事業主の年間納税スケジュール

法人を設立する際は自由に決算日を決められますが、個人事業主は1月1日~12月31日が会計期間となります。12月に開業したとしても、12月31日で最初の会計期間は終了です。

12月31日で会計期間が終了して、翌年の2月16日~3月15日までに確定申告書を提出します。

その他にも、以下のように税金の支払いが発生します。

・所得税:3月15日までに納付

・消費税:3月31日までに納付(消費税の課税事業者のみ)

・住民税:6月、8月、10月、翌年1月

・個人事業税:8月、11月(対象者のみ)

会社員であれば所得税や住民税は給与から天引きされているため、資金繰りを考える必要はありません。

しかし、個人事業主は自分で税金を計算して納付するため、スケジュールを把握していないと、納付時期に資金が足りない事態に陥ります。

新たに個人事業主になる方は、納税スケジュールを把握して、余裕を持った資金管理をおこないましょう。

まとめ

個人事業主として開業するにはさまざまな手続きや準備が必要なので、やることリストを確認しながら漏れなく進めましょう。

特に開業届は、その後の銀行口座作成や青色申告の承認にも関わってくるため、忘れずに提出することが大切です。

パソコンや名刺など仕事を進めるのに欠かせないアイテムも揃えて、準備万端にして事業を始めてください。

 

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