フリーランスや業務委託でも失業保険を受給できる条件を解説!

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会社を退職してフリーランスになる場合、退職後は安定した収入が無くなるので、事業資金や生活費が心配になります。せめて事業が軌道に乗るまで猶予期間がほしいと考える人も多いでしょう。退職後にフリーランスになる人がまず考えるのは、失業保険のことです。失業保険を受け取りつつ、その要件を満たしながらフリーランスとしての事業準備を進め、できるだけ収入の溝を作らずに移行したいと考えるのは普通のことです。

この記事では、そんな方のために、失業保険を受給できる条件や、フリーランスになる場合でも失業保険を受け取れるのか、フリーランスや業務委託と失業保険についてのあれこれを解説していきます。

失業保険とは

皆さん当たり前のように失業保険と呼びますが、実はこれは通り名であって、正式名称は雇用保険といいます。就業中に掛け金を納めることで、失業して収入が無くなったときにお金を給付してもらい、生活を安定させることを目的としています。

失業保険は失業時の給付以外にも、雇用の安定のためなど幅広い目的に活用されます。ここでは、失業したときの「失業手当」と再び働きだしたときの「再就職手当」について解説します。

失業手当


失業手当は会社を退職、あるいは倒産などにより離職した人に給付されます。

失業者への給付金は雇用保険への加入期間や年齢、離職の理由などによって変わります。会社が倒産したり解雇されたりした場合は、急な離職となり再就職まで時間がかかるので、支給日数が長くなります。

会社員からフリーランスになる場合、開業届を税務署に提出すると失業状態とはみなされないため注意が必要です。

再就職手当


失業手当の受給期間を1/3以上残した状態で再就職が決まると受け取れる手当です。

再就職が決まると失業手当は受け取れなくなりますが、再就職手当で本来受給できるはずだった失業手当の60%または70%を受け取れるので、早期の再就職を促す役割があります。

失業保険が支給される3つの条件

失業保険が支給される条件は、「就職する意思がある人」「ハローワークが定める失業の状態にある人」「一定の期間、雇用保険に加入していた人」です。

失業の状態にある人とは


ハローワークが定める失業の状態とは、「就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、職業に就くことができない」と定義されています。

重要なポイントを分かりやすく抜き出すと、以下の状態であることが求められます。

 

①就職の意思がある


仕事を辞めてしばらく働かないでゆっくりしようと考えている人や、大学に再入学するなど学業に専念する人などは、失業保険の対象とはなりません。

また、既に次の就職先が決まっている方も対象外です。

 

②働ける状態にある


事故により肉体的な怪我で退職する方や、うつ病など精神的な病気で退職する人は、働ける状態になるまでは失業状態とはみなされません。

また、怪我や病気だけでなく、妊娠や出産・育児により退職して働けない状態にある場合も対象外です。

 

③就職活動をしている


 面接を受けるなど就職活動をしている人が対象となるため、①と②を満たしても就職活動をしていなければ対象外となります。

これらの条件を満たしていないのに、嘘の申告をして失業保険を受給すると不正受給となります。

ただし、病気や怪我・出産・定年などの理由で退職した場合は、最長3年間まで受給期間の延長が可能です。

受給期間の延長とは、上記で挙げた理由などにより働けない場合に、失業保険の給付を保留しておき、働ける状態になった時に申請できる制度です。

失業状態であることの他に、雇用保険の加入期間も受給するための条件になります。

必要な加入期間は退職理由により、以下のように異なります。

雇用保険の加入期間


失業保険を受け取るには、雇用保険の加入期間も条件になります。ここでは、退職の理由別に必要な加入期間について解説します。

 

一般離職


一般離職とは、自己都合で退職することです。

自己都合で退職した場合は、「離職の日以前2年間に、雇用保険に通算して12か月以上加入」が条件です。

 

特定理由退職


特定理由退職とは、自分の意志に反して退職せざるを得なかった場合です。以下のような人が当てはまります。

・父、母の扶養や介護など家庭事情が急変した

・契約更新を望んだが会社側の意向で更新されなかった

・健康状態が悪化して通勤や業務を続けられなくなった

・結婚に伴う住所変更により通勤が困難となった

特定理由退職の場合、「離職日以前の1年間に、雇用保険に通算して6か月以上加入」が条件です。

 

特定受給資格者


会社の倒産や解雇などにより、再就職の準備ができないまま退職することになった人を「特定受給資格者」といいます。

会社の倒産や解雇以外にも、賃金の未払いや雇用条件の相違、長時間の残業、セクハラ・パワハラなどの嫌がらせや、法律に違反する仕事の命令をされた場合なども特定受給資格者となります。

特定受給資格者は「離職日以前の1年間に、雇用保険に通算して6か月以上加入」が条件です。

1日当たりに受給できる金額

失業保険で受給できる1日当たりの金額は、離職日直前の6か月間に受け取った給料(賞与は除く)の合計を180で割った金額の50~80%です。

また、年齢ごとに上限額が以下の表のように定められています。
























年齢 上限額
30歳未満 6,760円
30歳以上45歳未満 7,510円
45歳以上60歳未満 8,265円
60歳以上65歳未満 7,096円


参考:ハローワークインターネットサービス「基本手当について

 

受給できる日数


失業保険を受給できる日数は、退職理由と雇用保険に加入していた期間により異なります。

自己都合により離職した場合






























  被保険者であった期間
1年未満 1年以上 5年以上 10年以上 20年以上
5年未満 10年未満 20年未満
区分 全年齢 - 90日 120日 150日


参考:ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数

会社都合により離職した場合


























































  被保険者であった期間
1年未満 1年以上 5年以上 10年以上 20年以上
5年未満 10年未満 20年未満
区分 30歳未満 90日 90日 120日 180日
30歳以上35歳未満 120日 180日 210日 240日
35歳以上45歳未満 150日 240日 270日
45歳以上60歳未満 180日 240日 270日 330日
60歳以上65歳未満 150日 180日 210日 240日


参考:ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数

実際に給付される金額


ここでは、イメージしやすいように具体例を挙げて、給付額がいくらになるか計算してみましょう。

条件

・離職前6か月間の平均給与:月額180,000

*賞与・インセンティブ・退職金は除き、住宅手当・通勤手当・残業代は含める

・年齢:35歳

・雇用保険の加入期間:10年

・自己都合による退職

まずは、賃金日額を以下のように計算します。

(180,000円×6ヵ月)÷180日=賃金日額6,000円

続いて、賃金日額に所定の支給率を掛けたものが「基本手当日額(1日に支給される金額)」となります。

賃金日額6,000円×76.0%=基本手当日額4,562円

*端数処理の関係で誤差が出ています

1日に支給される金額である基本手当日額が分かったら、次に何日間給付を受けられるか確認して下さい。

今回の条件では、雇用保険の加入期間が10年以上なので、給付日数は120日です。

基本手当日額に給付日数を掛ければ、支給される金額の合計が分かります。

基本手当日額4,562円×120日=547,440円

今回の条件であれば、失業保険は総額で547,440円もらえる結果となりました。

この数値はあくまで概算なので、個別の支給金額を知りたい場合はお近くのハローワークに問い合わせてみてください。

また、失業保険の金額を自動計算してくれるサイトもあるので参考にしましょう。

会社員からフリーランスや業務委託になると失業保険の対象になる?



会社を退職してフリーランスになると決めている人は、失業保険の条件の1つである「就職する意思がある人」に当てはまらないため、失業保険の対象とはなりません。

しかし、フリーランスになろうか再就職をしようか、検討中の人は対象となります。

ただし、検討中の人でも既に開業届を提出するなど、フリーランスとしての準備を始めている人は対象にならない可能性があります。

フリーランスを検討している人は、次のことに注意をして受給の申請をするようにしましょう。

開業届を提出するタイミングに注意する


専業のフリーランスとして働く場合は、ほとんどの人が税務署に開業届を提出します。

しかし、開業届を提出すると失業状態ではなくなるため、失業保険の給付が終了します。(かわりに上記の条件により再就職手当が給付されます)

失業保険の給付が決定する前に開業届を提出すると、受給資格が無くなるので注意しましょう。失業保険を受給できなくなると、必然的に再就職手当も受給できません。

開業準備に注意する


実質的に開業の準備をすることにも注意が必要です。

以下のことが実質的な準備とみなされる可能性があります。

・フリーランスとしての事務所を賃貸契約する

・仕入先や外注先と契約をする(業務委託契約など)

受給期間中に働く場合の注意


失業保険の受給期間中でも、1日4時間未満であれば働いても問題ありません。

4時間を超えて働いた場合は、就労扱いとなりその日の失業保険は給付されません。ただし、完全に受給できなくなるわけでなく、その日の分の支給が先送りされます。

また、働いた場合はハローワークに収入の申告が必要です。収入に応じて失業保険が減額されます。

再就職するかフリーランスになるかを検討している間に、フリーランスとして仕事を受けたいのであれば、1日4時間未満でお試し程度に働くと良いでしょう。

ただし、先ほど説明したように、実質的に事業を始めたとみなされると給付が終了してしまいます。事務所の賃貸契約や仕入れ先などと契約を結ばないように注意しましょう。

就職活動をおこなう


失業保険を受給するには、定められた回数の就職活動をしてハローワークから認定を受ける必要があります。

フリーランスを検討しているからと言って、就職活動をまったくしないと条件を満たせずに給付が停止されるので注意が必要です。

ハローワークから認定を受けるためには、基本的に月2回の就職活動をした実績が必要です。

以下のようなことをおこなうと実績と認められます。

・求人への応募

・ハローワークが実施するセミナーや説明会への参加

・民間企業の合同説明会などに参加

・再就職に役立つとハローワークが判断した資格試験の受験

転職サイトへの登録や友人への仕事紹介の依頼などは、就職活動として認められないので注意しましょう。

フリーランスや業務委託が失業保険を受け取るまでの流れ

ここでは、自己都合で退職した人が失業保険を受け取るまでの流れを解説します。

①ハローワークで受給の手続きをする


退職すると会社から離職票が送られてくるので、離職票をハローワークに持参して失業手当を受け取るための手続きをします。再就職するかフリーランスとして開業するか検討していると正直に伝えましょう。

②1週間の待期期間


失業手当の申請手続きをすると、1週間の待期期間があります。待期期間とはハローワークが事務処理をするための期間です。

③受給説明会に参加する


受給の手続きをする際に、受給説明会の日時を指定されます。

この受給説明会で、雇用保険受給資格者証が手渡されます。

雇用保険受給資格者証は、失業保険を受給している間は必ず必要になるものなので、しっかりと保管しましょう。

④1回目の失業認定を受ける


受給資格が決定した日から4週間後に失業認定を受けます。

失業認定を受けるには求職活動の実績が必要ですが、受給説明会と同時に開催される初回講習会が実績になります。

⑤2回目の失業認定を受ける


自己都合の退職の場合、7日間の待期期間の翌日から2か月の給付制限があります。そのため、月に1回ある失業認定を2回受けなくてはなりません。

2回目の失業認定の後に失業保険が振り込まれますが、求職活動をしていることを証明するために毎月失業認定を受ける必要があります。

⑥開業届を提出する

失業保険の受給が終了して、フリーランスになることを決意したら税務署に開業届を提出します。

開業届とは個人が事業を始めたことを、税務署に知らせるための書類です。

開業届は国税庁のホームページからダウンロードする、最寄りの税務署で受け取るなどの方法があります。

開業届を提出しなくても罰則はありませんが、青色申告や銀行口座の開設ができなくなる弊害があるため、フリーランスとして生活していくのであれば必ず提出しましょう。

ただし、失業保険の受給終了前に開業届を提出してしまうと、すでに失業状態ではないと判断されて、受給を打ち切られてしまう可能性があるため注意が必要です。

不正受給が発覚した場合の罰則と対応



ここでは、嘘の申告をして失業保険を受給した場合の罰則について解説します。

罰則と延滞金


嘘の申告をしたことが判明した場合、まずその後の給付が一切なくなります。
また、それまでに受給した失業保険の返還命令が出されるため、全額を返金しなくてはなりません。
さらに、悪質だと判断された場合は、不正受給した金額の2倍に相当する金額の納付命令が出ます。
つまり、総額で不正受給した金額の3倍を納付する必要があるのです。
すぐに全額を返金できないのであれば、納付し終えるまで年率5%の延滞金も発生します。

不正受給となるケース


知らずに不正受給をしてしまわないために、不正受給となるケースを確認しておきましょう。

・受給期間中のアルバイトを報告しなかった

・就職したことを報告せずに受給を続けた

・実際にはおこなっていない就職活動を実績とした

・定年後に再就職するつもりがないのに失業保険を受給した

これらは一例に過ぎないので、ハローワークからの説明を注意深く聞いて、知識不足などによる不正受給をしないようにしましょう。

誤って受給してしまった場合の対応


何らかの理由により誤って失業保険を受給してしまった場合、すぐにハローワークに連絡をして間違いを修正しましょう。
誤りを隠していて不正受給が発覚すると、悪質とみなされて受給金額の3倍の返還命令が出される可能性があります。
ハローワークは受給者の状況を調査しており、不正受給は必ず発覚します。その他にも関係官庁からの連絡や友人などが電話などで通報して、発覚するケースもあります。
自分から誤って不正受給をしたと連絡すれば、寛大な措置が取られることもあるため、なるべく早く誤りを修正することが大切です。

 

フリーランスや業務委託が加入できる保険や制度


フリーランスとして活動していると、思わぬ怪我や病気により収入が途絶えてしまうことがあります。フリーランスは会社員よりも収入が不安定なので、さまざまなリスクに備えることが大切です。

ここでは、フリーランスが活用できる保険や制度について解説します。

所得補償制度


フリーランスが怪我や病気に備えるには、フリーランス協会の「所得補償制度」が便利です。

所得補償制度は、怪我や病気などで働けなくなった場合に、普段の所得から計算された保険金が支払われます。

保険金の支払期間は最長1年なので、安心して療養に専念できるでしょう。

ただし、この制度に加入するには、フリーランス協会の正会員であることが求められます。正会員になると賠償責任保険を受けられる・福利厚生サービスを利用できる・コワーキングスペース優待など、さまざまな特典があります。

所得補償制度も会員価格で加入できるため、フリーランス協会への加入を検討してみてはいかがでしょうか。

賠償責任保険


賠償責任保険とは、業務上のトラブルにより損害を被った場合に補償をしてくれる保険です。

個人事業主には会社の後ろ盾がないため、大きなトラブルが発生すると倒産の危機に陥ることもあります。

賠償責任保険は、次のような損害賠償請求をされたケースで活用できます。

・顧客の情報を漏洩させた

・納品物に問題があり顧客に損害を与えた

・著作権侵害をした

・トラブルにより訴訟を起こされた

フリーランスは仕事の契約をする際に、対等な契約になっているか・損害賠償の範囲は定められているかなどを確認してリスク管理をする必要があります。

依頼者側に有利な契約をすると、問題が発生した場合に損害賠償のリスクが高まるため、業務委託契約書の内容はしっかりと確認しましょう。

小規模企業共済


小規模企業共済は、国の機関である「中小機構」が運営する、個人事業主向けの退職金制度です。

毎月1,000円~70,000円の掛金を積み立てて、退職や廃業時に退職金として受け取ることができます。

小規模企業共済の大きなメリットは、「掛金を所得控除できる」ということです。

フリーランスの所得税の納税額は、まず売上から経費を差し引いた所得を計算します。所得から各種控除を差し引いた課税所得金額に、所得税率を掛けると納める所得税がわかります。

例えば、毎月2万円を掛金として積み立てていれば、年間で24万円を課税所得から差し引けるので大きな節税効果を見込めるでしょう。

フリーランスには退職金がないため、小規模企業共済を活用すれば、節税しつつお金を積み立てて、退職時に老後の資金を確保できます。

まとめ

失業保険を受給できるのは、就労する意思がある人が条件です。フリーランスとして独立する意思が固まっている人は対象になりません。

ただし、再就職するかフリーランスになるか検討中の人は、受給の対象になります。

開業届を提出するタイミングや開業の準備などで、受給資格を満たさないと判断されることもあるため、慎重に行動しましょう。
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サックルマガジン編集部

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