【DX実現に向けて】システム統合の進め方を解説

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現在、DXという言葉が浸透し、各社で「DX推進部」を立ち上げるなど、重要なテーマになっていると思います。

 

DXとは、デジタルトランスフォーメーションのことで、将来の成長や競争力強化のために、さまざまなデジタル技術を活用して新たなビジネスモデルを創出することです。

 

このことは、多くの経営者は理解しているとは思いますが、実際には多くの課題があり、なかなか思うように進まないのが現実です。

 

課題のひとつに、既存システムが複雑化・ブラックボックス化してしまい、思うような改革ができないことがあげられます。

その解決方法のひとつが、システム統合です。

 

本記事では、システム統合を進めるべき理由や、システム統合の進め方について解説します。

何故システム統合を進めるべきか

システム統合を進めないとどうなるのか?


以前より、多くの企業で合併が行われています。合併が行われると、会社はひとつになるが、システムはそのままであることがほとんどです。そうなると、同じ会社に2つの基幹システムが存在することになります。

基幹システムが2つあると、色々と不都合が生じます。例えば、営業システムが2つあると、データの一元管理ができません。つまり、他の部署の売上データを活用した営業ができなくなります。また、人事システムが2つあると、2つのシステムを参照しながら業務を行わなければなりません。これだと業務負荷が増大してしまいます。

システムの観点でも問題があります。それは複数のシステムを維持しなければならず、保守コストが増大してしまいます。

このように、システムを統合しないと、業務効率の低下や保守コストの増大などのデメリットが生じてしまいます。この状態だと、既存システムの維持管理コストがふくらみ、DXを推進するための投資ができません。

「2025年の崖」の解決策のひとつとしてシステム統合をする


経済産業省の平成30年9月に発表したDXレポートにも、「2025年の崖」という言葉で、複雑かつブラックボックス化してしまった既存システムを危惧しています。「2025年の崖」とは、既存システムの複雑な状態を解決出来ない場合、次のようなことが起こるとされています。

・データがさまざまなシステムに点在しているため、効率的なデータ活用ができずDX実現の阻害になる。

・ブラックボックスのシステムを保守するのは難しく、必要以上のシステム維持管理費が発生してしまう。

・保守運用の担い手が不在で、サイバーセキュリティや災害によるシステムトラブルなどのリスクが高まる

・メインフレームの人材をアサインしなければならず、AIなどの先端技術を扱うエンジニアの確保が困難になる。

このようなことから、2025年以降、日本全体で年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性があると言われています。

この問題を解決するためには、複雑・ブラックボックス化した既存システムについて、刷新や廃棄などを行う必要があります。システム統合も、この問題を解決するための一つの方法です。システム統合を行い、複数のシステムを1つのシステムにすれば、データが1箇所に集まり、データ活用によるDXの推進ができます。また、システムの運用コストを削減することや、エンジニアを既存システムの保守ではなく攻めの開発にアサインできるなど、さまざまなメリットがあります。

システム統合の進め方を解説

システム統合の進め方を解説します。

システム統合は、簡単ではありません。例えば、みずほ銀行のシステム統合がようやく実現したというニュースは記憶に新しいですが、合併から約20年かかっています。

ここまで大規模なシステム統合はまれですが、システム統合にあたってさまざまな課題を乗り越えなければなりません。経営層の強い意思と推進力が必要となります。

システム統合の流れは、一般的なシステム開発とほぼ同じで、ざっくりと「システム化計画」「要件定義」「開発〜テスト」「システム統合本番」といったステップを踏みます。

それぞれの工程において、詳しく解説します。

システム企画(システム統合方式検討)


システム企画フェーズでは、目先だけでなく数年後も見据えて、事業をより良く運営するためにはどのようなシステムであるべきかを検討するフェーズです。

経営戦略に基づいて対象業務を分析して、概算コストや投資効果などを算出します。

システム統合プロジェクトでは、システム統合の方式も重要になります。

システム統合方式は、大きく次の3つの方式があります。

 

片寄せ方式


片寄せ方式は、片方のシステムを廃止し、もう一方のシステムを残す方式です。片方のシステムを廃止しても業務が回るようであればこの方式がベストです。

片方を廃止したことによって業務が回らないのであれば、残す側のシステムに必要な機能を実装しなければならず工数が膨らみます。

 

新規開発方式

システムが複雑かつブラックボックス化しているのであれば、統合するよりは一から開発した方がよいケースがあります。一般的には片寄せ方式に比べ、コストはかかり、スケジュールも長くなります。

 

併存方式

全部統合せずに、必要なものだけを統合する方式です。

費用や時間がなく、全部統合することが難しい場合は、この方式をとる場合もあります。

例えば、データベースだけ統合してデータの一元化などを行います。

この方式は、結局古いシステムが残ってしまうため、DXを推進していくには課題が残ります。

 

どの方式をとるかは、投資効果などを見ながら慎重に判断する必要があります。

システム企画フェーズはシステム統合の肝であるため、社内にITの専門家がいない場合は、専門のコンサルタントや開発ベンダーと相談しながら進めていきます。

要件定義


要件定義フェーズでは、システム企画に従って、システムの要件や業務フロー、運用・保守方式、スケジュールなどについても策定します。

要件定義は自社内で行うケースもあれば、開発ベンダーと共に行うケースもあります。

システム統合においては、統合後の業務フローを確定させることが重要になります。そのためには、現状のシステムや業務についてしっかり現場の担当者にヒアリングをする必要があります。

ヒアリングをおろそかにしてしまうと、システム統合後に必要な機能が漏れてしまい、運用が回らなくなってしまう恐れがあります。

また、システム統合は、一度に全部行うと失敗した時のリスクが高いです。

どのような段取りで進めるかをしっかり検討することも、成功させるためのカギです。例えば、複数拠点あるのであれば、まずは1箇所統合して問題がないかを確認したあと、全体を統合するやり方が良いとされています。

このようにシステム統合に関する要件をしっかり詰める必要があります。

開発〜テスト


開発〜テストフェーズは、通常のシステム工程と同じように、要件定義書に従い、設計、開発、テストを行います。

自社に開発部隊を持たない場合は、開発ベンダーに任せるケースがほとんどです。

開発〜テストが完了すると、実際に現場の担当者に統合後のシステムを利用してもらい、問題なく運用がまわるか確認します。

システム統合本番


そしていよいよシステム統合本番です。

事前に策定したスケジュールに従って、システム統合を行います。

規模にもよりますが、統合後数週間は、問題なく業務がまわるか確認する必要があります。問題なければシステム統合は完了となります。これで、DXを推進していく基盤が整いました。

まとめ | さっそくシステム統合を検討しよう

本記事では、システム統合を進めるべき理由と、システム統合の進め方について解説しました。

もう一度整理すると、システム統合をしないと、業務効率の低下やシステム維持管理コストの増加してしまい、DX推進どころではなくなってしまいます。

DXを実現させるためには、システム統合が必須です。

システム統合を、効率よく進めるためには、システム企画・要件定義をしっかり行う必要があります。もし、社内に専門家がいないようなら、開発ベンダーやコンサルタントに相談することをおすすめします。

それでは、DXを実現する第一歩として、システム統合を検討し始めましょう。
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