DX活用事例|「Box」を例にクラウドストレージサービスをビジネスに活用する手法と考え方を解説

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顧客が企業に求める期待は高く、「商品」や「サービス」だけではなく、優れた顧客体験が求められます。そのような顧客の期待に応えるためには、最新のテクノロジーを活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)が欠かせません。

企業が顧客と商談やプロジェクトを進めるとき、クラウドストレージサービスを活用することで、データを安全かつ快適に共有できます。その結果、企業と顧客との間で信頼感とスピード感が生まれ、顧客体験が向上します。

この記事では、クラウドストレージサービスを企業が導入するメリットとデメリット、そして世界中の多くの企業が利用している「Box」を、1,000人規模の会社に導入したDX推進者の視点から解説します。

Boxとは?

Boxとはインターネット上に保存したファイルに、複数の人がスマートフォンやパソコンからアクセスできるクラウドストレージサービスの1つです。

全世界で10万以上の企業に導入されており、日本では資生堂や無印良品、慶應義塾など有名な企業や大学で採用、活用されています。

クラウドストレージサービスのメリット

クラウドストレージサービスを企業が活用するメリットはなんでしょうか?

クラウドストレージサービスの一般的なメリットとDX観点でのメリットをご紹介します。

クラウドストレージサービスの7つのメリット



  • メリット1:インターネットに接続できれば、どこからでもファイルを確認し、編集や他社と共有ができる。

  • メリット2:自社でインフラを用意する必要がないので、初期投資を抑えられる。

  • メリット3:システムに専属の担当者をつける必要がないので、人件費を抑えられる。

  • メリット4:契約プランごとにストレージ容量が選べるので、容量不足になることがない。クラウドストレージサービスによっては容量無制限のプランも。

  • メリット5:クラウドストレージサービスは常に最新の機能とセキュリティ技術が追加されるので、快適に安心してサービスを利用できる。

  • メリット6:バックアップが自動で行われるため、データの紛失や欠損を心配する必要がない。

  • メリット7:クラウドストレージサービスは複数のデータセンターで、データを分散保存しています。そのため大規模災害があっても、インターネットにつながりさえすれば速やかに業務を再開できる。


クラウドストレージサービスを活用したDX観点のメリット


企業がクラウドストレージサービスを活用するDX観点でのメリットは、安心で快適なデータ共有手段を顧客に提供できることです。

2020年11月、平井卓也デジタル改革担当が、中央省庁の職員がメールでファイルを送信する際に利用されてきた「パスワード付きZipファイル」、いわゆるPPAPを廃止する方針を明らかにしたのは記憶に新しいところです。

ZIPパスワード付きのメール添付で見積書など送る企業に対して、顧客は「いまどき、まだパスワード付きZIPファイルか?」「セキュリティ意識が高くない会社なのか?」といった不信感を抱きます。

こういった顧客との関係構築において、安全なクラウドストレージサービスを利用するメリットがあります。

Boxの6つのメリット

Boxには顧客体験と従業員の生産性を高める機能が多くあります。実際にBox導入を決定した視点でメリットをご説明します。

6つのメリット



  • メリット1:Business Plusプラン以上を契約すると、顧客にも無料でBoxを提供できます。例えばクライアントとプロジェクトをおこなうとき、クライアントにクラウドストレージアカウントの購入を依頼するのはとても気が引けます。しかしこのサービスがあることで、クライアントに余計な費用を負担させず、利便性を共有することができます。

  • メリット2:柔軟な権限設定ができるので、たとえば「共有したファイルの閲覧は許可するが、ダウンロードは許可したくない」「共有したフォルダへのファイルアップロードは許可するが、ファイルの編集や削除は許可したくない」といった設定ができます。このレベルでの権限設定が可能なのはBoxだけです。

  • メリット3:Businessプラン以上を契約すると、管理コンソールからユーザーの操作ログを最大7年前までさかのぼって確認できます。操作ログには「ログイン履歴」「ファイルダウンロード履歴」など100種類以上のログがあります。たとえば社員が誤った人にファイルの共有リンクを送ってしまったとき、そのファイルが誤った人に見られたのか?ダウンロードされたのか?など情報漏洩の状況をすぐさま把握できます。

    操作ログが詳細にわかるのと、情報漏洩があったときなどの説明材料となるため非常にメリットが高いです。

  • メリット4:フォルダやファイルの共有リンクは削除ができます。誤った人に共有リンクを知らせてしまったときに、即座に共有リンクを削除すれば情報漏洩リスクを回避できる可能性が高まります。

  • メリット5:BoxDriveというパソコンにインストールできるアプリケーションが、無償で配布されています。このアプリケーションをインストールすると、WindowsのエクスプローラーやMac Finderからクラウド上のフォルダやファイルを直接操作ができます。フォルダやファイルの操作は、ブラウザよりもエクスプローラーやFinderのほうが使いやすいので、このアプリケーションはとても重宝します。

    BoxDriveを利用するとファイルの実体はクラウドに保存されているので、パソコンのHDD容量をほとんど使用しません。そして仕事で使うすべてのファイルをBox上に保存しておけば、パソコンを買い換えたときにもBoxDriveさえインストールすれば、ファイルの移行作業も不要になります。

  • メリット6:BoxはAPIを利用して他システムと連携することが可能です。Salesforce、Oracle NetSuite、Slack、Microsoft Office 365、Google Workspaceといった有名クラウドサービスと連携ができます。

    また自社で開発したシステムとも連携できます。たとえばプロジェクト管理システムを自社で開発していた場合、新しくプロジェクトを登録すると、Box上のフォルダ作成とプロジェクトメンバーとの共有設定が自動的におこなわれる機能を開発できます。使い慣れた社内システムとシームレスに連携できるのは大きなメリットがあります。

クラウドストレージサービスのデメリット

メリットの多いクラウドストレージサービスですが、デメリットもあります。

  • デメリット1:インターネット接続が絶対条件なので、社外でスマートフォンのテザリングやポケットWi-Fiを利用するとき圏外になっていると、クラウドストレージサービスにアクセスできません。

  • デメリット2:クラウドストレージサービスのパフォーマンスはインターネット回線の速度に大きく依存するので、回線が細く安定しない場合は必要なファイルにアクセスしづらくなります。

  • デメリット3:クラウドストレージサービスの多くは使用するユーザー数に対して課金されます。従業員が多ければその分コストが増します。

  • デメリット4:クラウドストレージサービスは決まったサービスが提供されるので、自社の業務にあわせてカスタマイズができません。


これらのデメリットはBoxにも言えます。デメリットもあらかじめ十分理解して導入を検討してください。

Boxの歴史

BoxはCEO兼会長のアーロン・レヴィが、南カリフォルニア大学在学中に友人のディラン・スミスとともに2005年に創業しました。

創業当初は一般消費者向けのサービスでした。しかしクラウドストレージサービスは差別化が難しいとアーロン・レヴィは早いタイミング理解していたので、2007年にターゲットを一般消費者から法人顧客に100%注力する戦略へと変えました。

企業が求めるセキュリティやガバナンスを維持し、使いやすいシンプルなインターフェースと他社アプリとの連携がうけて、Boxは多くの企業に導入されています。

クラウドストレージ「Box」の活用による企業のDX戦略

クラウドストレージ「Box」は、それ単体で顧客満足が向上するのはもちろんのこと、他の業務システムと連携することで新たに効率的な業務フローが確立でき、従業員の生産性も向上します。

従業員の生産性が向上することで、新しいアイディアを考える時間的・心理的余裕が生まれ、ビジネスモデルや自社の商品・サービスを変革することができるでしょう。
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