・開業届を提出するメリットは?
・開業届に必要な書類とは?
この記事は上記のような疑問を抱えておられる方に向けて、開業届の概要やメリット、必要書類から提出方法などを解説していきます。
これから個人事業主になりたいという方は、是非最後までご確認ください。
開業届とは
■開業届とは
開業届とは、個人事業主となる人が事業を開業したことを税務署に届け出るための書類であり、正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」と呼ばれています。
開業する時だけでなく、廃業する際にも提出する必要があります。
現在開業届の提出を怠った場合の罰則規定などはないため、開業届を出さずに事業を営んでいるケースもありますが、後述するメリットを享受するためにも、提出はしておくべきでしょう。
■開業届を提出するタイミングや費用
開業届を提出するタイミングとしては、開業してから1か月以内としています。
つまり4月1日に個人事業主としての活動を始めたのであれば、4月中に税務署まで届け出る必要があるのです。
とはいえ仮に提出するのを忘れており、個人事業主としての活動を始めてから1か月を超えたタイミングとなってしまっても、法的なリスクや罰則などは設けられていません。
また法人を設立する場合と異なり、開業届の提出には費用も掛からないのです。
開業届のメリット
■メリット①:青色申告が可能
一つ目のメリットは確定申告の際、青色申告が可能であるという点です。
開業届の際、青色申告承認申請書を併せて提出することで、最大65万円の特別控除を受けることができます。
例えば本来課税所得が300万円である場合、開業届と青色申告承認申請書を提出していなければ、そのまま300万円を基に所得税が計算されます。
その点、青色申告の場合はこの300万円から先の控除額を差し引くことができ、節税することができるのです。
■メリット②:屋号で銀行口座が作れる
個人事業主としての屋号で銀行口座が作れるといった点もメリットと言えるでしょう。
開業届を提出していなければ、個人名義の口座を使用することになり、場合によってはクライアントから信用してもらいにくいです。
開業届を提出していれば屋号で口座が作れるので、個人事業主として明確に認知してもらうこともでき、信用にも繋がるでしょう。
■メリット③:職業証明に活用できる
また職業証明に活用できるという点も見逃せません。
行政などの手続きによっては職業証明が求められることがありますが、個人事業主の場合、企業に勤めていないため、在職証明書などを発行してもらうことができません。
そこで開業届の控えを代用することで、個人事業主として事業を営んでいることを証明することができるのです。
■開業届にデメリットはあるの?
ここまで開業届のメリットについて触れてきましたが、開業届にデメリットはないのでしょうか。
開業しようとしている方にとって、大きなデメリットと言えるかは微妙なところですが、以下の2点がデメリットと言えます。
・失業保険を受けることができない
失業保険は、失業し且つ就職活動を行っている方に対して支払われるものです。
開業届を提出した場合、いくら収入がなくても失業者として扱われず、失業保険を受けることはできません。
・配偶者の社会保険などの扶養に入ることができない可能性がある
また配偶者の扶養などに入れない可能性もあります。
開業したてでまだ収入が低くても、社会保険の規定によっては扶養の対象とならない場合があるのです。
開業届の提出方法と必要書類
■開業届の提出方法
まずは開業届の提出方法からお話します。
開業届の提出方法としては大きく
・税務署へ持参する
・税務署へ郵送する
という2つのパターンがあります。
税務署へ持参する場合は、開業届などの必要書類の他、印鑑とマイナンバー通知書(マイナンバーカードでも可)、身分証明書などを併せて持って行くようにしましょう。
郵送する場合は、マイナンバーがわかる書類と身分証明書の写しを届出書と同封する必要があります。
また控えをもらうために、切手を貼った返信用封筒も忘れず同封しましょう。
上記以外にも、時間外収受箱に投函するといった提出方法もありますが、この場合は郵送で送る場合と同様の対応をすれば問題ありません。
■必要書類
開業届を提出する際に必要な書類としては、基本的に以下の通りです。
・個人事業の開業・廃業等届出書
・マイナンバーがわかる書類
・身分証明書
これは先ほどの提出方法でお話した内容ですね。
開業自体は上記の書類のみで可能ですが、多くの場合以下のような書類も同時に提出しておくことになります。
・青色申告承認申請書
確定申告で青色申告をするための書類
・青色事業専従者給与に関する届出書
配偶者などを従業員として雇うことになる場合に必要な書類
・給与支払事務所等の開設届出
従業員に給与を支払う場合に必要な書類
・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
従業員を雇い、源泉徴収を行う場合に提出する書類
これらは先述の通り、必ずしも開業届と同時に提出しなければいけないというわけではありませんが、同時に提出しておけば税務署へ訪問するといった手続きの工数を削減することができます。
開業届を提出する際の注意点
■注意点①:青色申告承認申請書を忘れず提出する
一つ目の注意点は青色申告承認申請書を必ず提出しておくという点です。
開業届を出す最大のメリットと言っても過言ではない青色申告による控除を受けるには、青色申告承認申請書を提出する必要があります。
青色申告承認申請書を提出していなければ、65万円の特別控除は受けられず、節税対策も不十分になってしまうのです。
そのため開業届を提出する際は、青色申告承認申請書も忘れずに提出しておくようにしましょう。
■注意点②:控えは必ずもらい、保管しておく
また開業届の控えは必ずもらって、大切に保管しておくことも忘れてはいけません。
開業届の控えは、自分が個人事業主として正式に認められて事業を営んでいると証明するための書類でもあります。
先述の通り、行政手続きなどで職業証明などを求められることもあるので、その際に活用するためにも大切に保管しておくようにしましょう。
万が一紛失してしまった場合は、税務署に再発行してもらうことは可能ですが、その際個人情報の開示請求を行う必要があり、手数料で300円かかってしまいます。
また発効までに1か月程度の時間がかかるため、基本的には紛失しないよう保管しておくことが重要になるのです。
まとめ
提出しなくても罰則はないとはいえ、享受できるメリットを踏まえると、個人事業主として活動をする場合は提出しておく方がよいでしょう。
是非この記事を参考に、開業届の提出を進めていただければと思います。