確かにフリーランスには自由な働き方やスキルに応じた高額な報酬というメリットがある反面、明らかなリスクも存在します。
フリーランスになるか否かの判断材料として、また、フリーランスになってからのリスク対策として、フリーランスのリスクについて正確に把握しておきたいところです。
この記事では、フリーランスのリスクやその対処法について詳細をまとめています。
政府も注目するフリーランスの3大リスク
- 事業リスク
- 業務上のリスク
- 生活リスク
項目ごとに詳細を説明します。
参照:「フリーランスの課題と実態」(内閣府ホームページ)
事業継続のリスク
フリーランスが抱える代表的なリスクは、事業継続リスクです。
フリーランスはプロジェクトごとの契約となる場合が多く、収入は一定ではなく、不安定になりがちです。
フリーランスが安定して仕事を続けられことは、彼らと契約する企業側にとっても有益なことですが、外部のリソースということもあって、企業側の状況次第で簡単に契約を解除される恐れもあります。
そうした立場の弱さから、単価交渉が公平でなかったり、長時間労働を強いられるケースなどもあり、フリーランスが抱える深刻なリスクとして社会問題にもなっています。
業務管理上のリスク
個人で仕事を請け負う場合のリスクとして問題視されているものに、法的および契約上の問題があります。
たとえば、口頭契約による賃金未払いが発生した場合、回収を行うにしてもすべて自分で手続きを進めなければならず、フリーランとして本業を続けながら、そうしたことにも同時に行わなければならなくなります。
契約書を取り交わしていても、契約条件の一方的な破棄や変更などを通達されることもあります。
立場の違いを利用したそれらのハラスメントは、フリーランスが直面しがちなリスクと言えます。
ライフワークバランスのリスク
フリーランスは会社員と違って保障がありません。出産や育児、介護などで仕事ができなくなると、収入は直ちに途絶えてしまいます。
団体に加盟することで多少の保証を受けることはできますが、会社員の社会保険に比べると見劣りします。
フリーランスを志す際に認識しておきたいリスクです。
フリーランスになると直面する課題
3つのリスクをさらに深堀りし、フリーランスになると直面する課題を6つピックアップしました。
- 収入が不安定
- 雑務が増える
- 自己管理の難しさ
- 社会的信用の低さ
- 営業活動
- 孤独
項目ごとに詳細を説明します。
収入が不安定
フリーランスは仕事を請け負う業界の景気が良ければ、仕事を多く獲得でき、多くの収入が期待できます。しかし、取引先の業績悪化や業界全体が不景気になると収入は下り坂になり、契約の更新ができなくなるケースも想定されます。
特にたくさん稼げるフリーランスほど収入の高低差があり、波が激しいのが特徴です。フリーランスとして仕事を請け負う場合は、取引先や業界を分散させるなどして、収入の安定性を確保する必要があります。人脈がものを言うため、安定している時こそ人とのコミュニケーションを大切にしましょう。
雑務が増える
フリーランスは、仕事に関連するさまざまな雑務についても自分で対応しなければなりません。主な雑務としては、税務処理、請求書の作成と送付、債権管理などです。
日々の仕事をこなす時間の他に、雑務処理にも対応するための時間も確保する必要があります。
会社へ勤めている場合、面倒な雑務は総務部などに引き受けてもらえます。会社員からフリーランスへ転身した人の中には、雑務を重荷に感じる人もいるでしょう。事務手続きに負担を感じる人は、フリーランスに向いていないかもしれません。
自己管理の難しさ
フリーランスは基本的に一人で活動するため、自分のことは自分で管理しなければなりません。
会社員からフリーランスへ転身した人の中には、上司や会社のルールのありがたみを痛感する人もいます。
仕事の進め方や時間管理は、自分なりのペースや方法を掴むまでに少々時間が掛かるかもしれません。
やる気を維持するためのメンタル管理も重要です。正しいメンタル管理ができていないと、やる気が出ない日の作業効率の悪さが後々まで響くことがあります。会社員の場合はそれでもどうにかなりますが、フリーランスの場合やる気の無さが収入に直結するため非常にシビアです。
仕事量が少ないと生活がままなりませんが、多すぎるとメンタルがもたなくなることも考えられ、そのあたりの加減が重要になります。
自分の能力や案件規模を客観視して、バランスの良い判断を下すのもフリーランスに求められる能力の一つです。
社会的信用の低さ
フリーランスの社会的信用度は、今のところまだ勤め人に比べるとかなり低いのげ現状です。ある程度稼げるようになっても、勤め人よりも高い社会的信用を得るのは難しいでしょう。
社会的信用の低さは、ローンを組む時やクレジットカードをつくる時、賃貸物件を借りる時などに障害となります。
法人格がないフリーランスの場合、企業相手に大きな取引を行うことも社会的信用の低さから困難です。
営業活動
フリーランスは自分で営業して仕事を獲得しなければ報酬は得られません。
スキルには自信があるが、案件獲得に不安があるため、フリーランスになる勇気がないという人も多いのではないでしょうか。
築き上げた人脈から仕事が定期的に得られる人は別ですが、基本的には継続的な営業は必須で、高いコミュニケーション能力は不可欠と言えます。
仕事とは別に営業のための時間を確保するためには、仕事の生産性を高めなければなりません。
孤独
フリーランスは基本的に一人で作業を行い、完結します。仕事以外の雑務も基本的には一人で対応しなければなりません。
一人は気楽でいいと思ってフリーランスを始めた人でも、仕事仲間がいないことで次第に孤独を感じるケースも少なくありません。
コワーキングスペースやカフェで仕事をして寂しさを紛らわせても、深いところで仕事の話ができる相手がいないことに変わりはありません。
人によっては孤独に辛さを感じてしまう可能性もあります。
フリーランスにかかるリスクの対策方法
フリーランスのリスクへの対処方法を3つ、ピックアップし、以下に紹介します。
- 事業リスクは活動量でカバー
- 業務管理場はマネージャーに任せる
- コミュニケーションと入念な体調管理
事業リスクは活動量でカバー
フリーランスにとって避けようのない事業リスクは、活動量によってカバーする必要があります。
クライアントと案件を分散することで、フリーランス特有の不安定性を回避しましょう。
仕事を多く抱えることで精神的な余裕も生まれ、何より収入が増えることでモチベーションが上がります。多くの人と関わることで孤独感の解消にもつながります。
業務管理はマネージャーに任せるのも1つの方法
余裕ができれば、債権管理や契約書の作成、やり取りなどはマネージャーに任せる方法が有効です。
近年では、クラウドソーシングサイトでマネージャー業務を委託できるようになりました。
案件が増えてきて雑務に回す時間が惜しくなったら、マネージャーの雇用を検討してみましょう。
もちろん、手続きや書類仕事が苦にならない人はこの限りではありません。
コミュニケーションと入念な体調管理
仕事を通じて知り合う仲間は、メンタル維持と仕事の共有メリットから、フリーランスにとっては欠かせません。長くフリーランスを続けるにあたって仲間は必須です。
SNSでフリーランス仲間を探すなどして積極的に交流し、意見交換や情報共有だけでなく、雑談で心身のリフレッシュをはかりましょう。
フリーランスの体調管理は、フリーランス関連の団体や保険に入ると良いでしょう。保険や健康診断の特典がありますので、定期的な健康管理に最適です。
まとめ
避けようのないリスクは、正攻法で対処すると道が開けます。まずは、業務に専念し、余裕のある時間を作り出すことが先決です。