社会環境の変化により人手不足の企業が増えていて、外部委託を利用する機会がますます増えるでしょう。
今回の記事では、外部委託とは何か、メリットやデメリットについて解説します。
外部委託とは?
以前は、重要度が低い単純作業がメインでしたが、現在では営業や労務管理などさまざまな業務が外部委託されています。
外部委託という言葉は実務上でよく使いますが、法律で定義された用語ではありません。そのため、契約書などの公式文書では、あまり使用されない言葉です。
外部委託のメリット
社内にないノウハウを活用できる
外部の専門家や経験者に業務を委託すると、自社にはないノウハウで、高品質な成果を期待できます。品質だけでなく、仕事のスピードや効率も上がるでしょう。
法人税の申告や経理を税理士に依頼している企業は多いですが、これも外部委託の一種です。
新規事業を始める際は、自社にノウハウがないケースがほとんどです。外部の専門家に業務の一部を委託すれば、プロジェクトが進むスピードが飛躍的に高まるでしょう。
コア業務に集中できる
従業員には、それぞれ与えられた役割があります。しかし、雑務に追われて、重要な業務がおろそかになっているケースが多いです。
外部委託を活用すると、従業員がコア業務に集中でき業績の向上に繋がります。
営業員は外回りに集中して受注を増やし、開発部は新製品のリサーチや検証の時間を増やして、魅力的な商品を生み出せるでしょう。
日本では労働人口が減少を続けていて、人手不足に悩まされている企業が多くあります。一人一人の作業負担が増えていて、仕事が回っていない場合は、外部委託により解決できます。
コストを削減できる
一般的な企業には、仕事が少ない「閑散期」と仕事が増える「繁忙期」、中間的な仕事量の「通常期」があります。
企業は通常期の業務量に合わせて人員を配置するため、繁忙期には多くの残業が発生してしまいます。しかし、繁忙期に合わせて人員を配置すると、繁忙期以外では余分な人件費が発生してしまいます。
業務量に合わせて外部委託をすれば、社内の業務量を調整でき、人件費を減らせるでしょう。
ただし、外部委託のコストが上がり過ぎてしまう可能性があるため、事前に従業員を雇う場合とどちらが効率的か検討してください。
外部委託のデメリット
社内にノウハウが蓄積されない
外部委託は仕事を効率化させてくれますが、自社にノウハウが蓄積されません。外部委託を中止して自社に業務を戻す際に、ノウハウがなくて作業が進まない危険性があります。
半永久的に委託先が業務を請け負うのであれば、ノウハウの心配は不要ですが、事業撤退や倒産などの危険性があります。
業務を任せっきりにしないで、自社にも知識がある人材を配置するといいでしょう。
情報漏洩のリスクが高まる
外部委託する際は、業務に必要な自社の機密情報を、委託先の企業に渡す必要があります。売上や新商品の情報など、外部に漏れると企業の存続に関わることもあるため注意が必要です。
外部委託先と契約を交わす際には、必ず秘密保持契約を結びましょう。また、情報セキュリティに関する国際規格である、ISO/IEC27001を取得している企業だと安心です。
外部委託に適した業務
システムの保守運用
システムの保守運用とは、システムが正常に稼働するように24時間体制で監視して、トラブルが発生したら対応する仕事です。
システムが停止すると企業の活動が止まってしまうため、休みなく監視する必要があります。そのため、システムの保守運用には多くの時間を消費し、社内リソースを逼迫してしまいます。
社員に負担の大きいシステムの保守運用を、外部委託している会社は多いです。保守運用に使っていた人的リソースをコア業務に振り分ければ、業務効率化が進むでしょう。
経理・会計
企業にとって経理は、自社のお金を管理する重要な業務です。しかし、単純で誰にでもできる作業も多くあります。経理業務のうち単純な作業を外部委託すれば、銀行との融資の交渉や、自社の経営状況の分析など、より重要な業務に時間を使えます。
また、経理代行会社は経理作業をするだけでなく、数字を把握したうえで、企業のコンサルもおこなえます。専門家による経営アドバイスを受けたい人にも、経理・会計の外部委託はおすすめです。
テレアポ
企業が新規顧客を獲得するのに有効な手段として、テレアポがあります。
しかし、多くのお客さまに電話をしても、ほとんどが断られるため、精神的に疲労する仕事です。離職率は30%を超えるとされ、自社の社員にテレアポをさせると、人材の入れ替わりが早くなってしまいます。
テレアポを外部委託すれば、自社ではテレアポ獲得後の営業活動に集中できます。また、テレアポの経験豊富な業者に任せれば、アポイントメントの獲得率も上がるでしょう。
データ入力
企業を運営にしていると、以下のような膨大な入力作業が発生します。
・名刺の情報
・顧客の名前や住所
・ECサイトの商品情報
・アンケート結果のデータ化
これらを社員が担当すると、人件費が膨大に発生してしまいます。
外部委託であれば、比較的安価にデータ入力ができ、自社の担当者はチェックをするだけです。
まとめ
外部委託をすると、社内にはないノウハウを活用してスムーズに事業が進みます。また、社員は雑務に追われずコア業務に集中でき、業績アップも見込めるでしょう。
ただし、自社にノウハウが蓄積されづらく、委託先が倒産した場合は、業務が停止する危険性があります。情報漏洩のリスクもあり、外部委託をする際は事前に委託先をチェックしましょう。
労働人口の減少により、今後ますます人手不足が進むと考えられます。外部委託を活用して、自社の業務を効率化してください。