2021年版 IoTに活用されるセンサの種類と用途のまとめ

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IoTの情報収集はセンサにお任せ

IoTとはInternet of Thingsの略で、モノのインターネットと訳されます。
センサやデバイスが情報を集めてクラウドに情報を送り、AI等でそれを解析し、最適化させた動作をデバイスに実行させる。そのモノが、そのモノだけの働きをし、それを使うヒトや環境に最善のベネフィットをもたらす。

参考:IoTとは何か とっさに説明できますか? 事例つきで分かりやすく解説します

事業者の方からの相談で、「IoTを活用したい!」という思いはあるが、実際にどのように自社のビジネスにそれを組み込むか、なかなかこれといったアイデアが浮かばない、という声をよく見聞きします。

「IoTを事業に導入したい」と考える企業や自治体や組織は少なくありません。
しかし「IoTを活用する」と大上段に構えすぎると、具体的なアイデアは出にくいもの。そういう時は、まずIoTを分解して、個別の要素としてとらえることをおすすめします。なぜなら、IoT自体が複数の要素をインテグレートしてできたものだからです。決まった型はありません。つまり、必要な要素を繋ぎ合わせることで、あなただけのIoTを生み出すこともできるわけです。

IoTの要素として一番に考えられるのは、情報収集の役割を果たす「センサ」です。
どういう情報を集めるのかというと、ヒトの五感に相当する感覚、自然界の物理現象、科学的性質などです。これらを正確に測定することで、その後の解析やフィードバックに活かそうというのです。
自社の事業でIoTを活用するなら、どの情報を集めるか、まずそのことから考えてみるのも1つの手です。

IoT向きの10種類のセンサとその活用法

センサの種類は多岐にわたりますが、現状IoTに活用されているもの、活用が見込まれているもの、10種類にしぼってご紹介いたします。

GPS




GPSとは、衛星から発信される信号を受信することで現在位置を特定する、Global Positioning System(全地球的測位システム)です。
GPSという名称が有名ですが、実際にはGNSSが正式な名称であり、アメリカの衛星システムGPSだけでなく、日本の「みちびき」やロシアの「GLONASS」、欧州の「Galileo」など、各国の衛星システムを利用することができます。
各衛星との距離を元に場所を特定する仕組みなので、通信する衛星の数が多いほど精度が上がり、山やビルの陰など、通信が阻害される環境では精度が下がります。

<用途>
皆さんご存知のカーナビをはじめ、携帯電話やカメラなどに使用され、現在位置の確認や目的地へのナビゲーションで利用されています。もちろん航空機や船舶、登山時のナビゲーションにも欠かせない技術です。
土木・建築業界では測量に利用されており、GPSと自動運転技術を組み合わせた施工サポートも行われています。また、自動車などに取り付けることで盗難防止にも役立てられており、犯罪の低減にも貢献しています。
野生動物の生態調査では、GPS発信機を取り付けることで行動範囲のトラッキングを行ったり、隆起やがけ崩れなどによる地盤の変化などにも用いられています。
また、本来の用途とは異なりますが、衛星と通信することで、衛星が持つ原子時計の時間を取得し、非常に正確な時間を知ることにも利用されています。
例えば地震を監視し、震源の特定を行う用途では、全ての地震センサをGPSを使って同期し、リアルタイム性を担保しています。

加速度センサ


加速度センサは、物体の移動に伴う速度の変化を検出するセンサです。モーションセンサとも呼ばれ、人の動きや振動、衝撃まで検知できます。加速度の検出には静電容量式、ピエゾ抵抗方式、熱検知方式があり、用途により使い分けができます。


<用途>
エアバックでは、衝撃を検知するのに加速度センサーが用いられます。携帯電話やデジタルカメラが縦横を自動的に感知して表示を切り替えるのも、ゲームコントローラーが振るだけで操作できるのも、このセンサの働きによります。スマホのタップ操作を可能にしているのもこのセンサです。スマホは、他にもジャイロセンサや輝度センサ、近接センサやGPSなどが組み込まれ、まさにテクノロジーのかたまりといえます。ロボットの姿勢維持など、加速度センサは研究分野でも盛んに活用されています。

ジャイロセンサ




これも最近名前をよく聞くセンサです。コリオリ力を利用して、物体の傾きや角度、角速度を検知し、電気信号に変換するもので、圧電方式と静電容量方式に分かれます。
センサごとに検出できる角度が変わるので、用途に応じて適切なセンサを選ぶことが求められます。
余談ですが、野球界で一時期ジャイロボールというものが話題になりました。投手が投げたボールの回転軸が進行方向と同じになるというもので、減速を抑えつつ独特の変化をするということで、「あの時のあの投手の球がそれに近かった」とか、「いやいやそんなものは不可能だ」と、議論がまあまあ活発に行われました。

<用途>
ジャイロセンサの用途は非常に幅広いです。もともとは船や飛行機、ロケット、人工衛星などの姿勢制御から利用が始まり、今ではスマートフォンやデジカメ、ゲーム機、カーナビなどの民生品にも多く利用されています。
デジカメなどの「手振れ補正」機能は、ジャイロセンサが揺れを検知することで可能になっており、またカーナビでは車の動きを把握するためにも使用されています。

光センサ


光センサは、光の断続や強さを探知して電気信号に変換します。可視光を検知するセンサはすでに生活やビジネスのさまざまな場面で活用されています。赤外線や紫外線など、目に見えない光を検知する高度なセンサの活用も今後一層進んでいくと見られています。
また、物体の色を検知するカラーセンサも光センサの一種です。赤・青・緑それぞれの受光量を検知できるようになっており、それぞれの光量の強さを比較することで、物体の色を判断しています。

<用途>
もっとも身近なものとして「人感センサ」があります。自動ドアが開いたり、手をかざすだけで蛇口から水が流れたり、侵入警報装置など、私たちの生活のさまざまな場面で活用されています。
また、エアコンやテレビなどのリモコンからは赤外線を放出し、本体が光センサーを検出することで遠隔制御ができるようになっています。
夕方暗くなると自動的に点灯する街灯は、周囲の光量を測定してライトの点灯・消灯を判断しています。またATM、自動販売機、駅の自動改札機などでは、カード検知や紙幣、硬貨の検知、切符の検知で光センサを使用しています。
他にも、糖度が高いほど屈折率が大きくなる現象を応用し、果実を傷つけずに糖度を測定する用途にも光センサが使用されています。

画像センサ


カメラにとって欠かせない、入ってきた光を電気信号に変えるセンサが画像センサです。イメージセンサとも呼ばれます。
CCDセンサとCMOSセンサが有名ですが、それぞれ信号を増幅して取り出す原理が異なり、CMOSセンサの方が価格や消費電力などに優れることから、今ではほとんどのカメラにCMOSセンサが使用されています。
<用途>
スマートフォン、デジカメ、webカメラ、車載カメラなど、全てのデジタルカメラに利用されています。ドローン人気でさらなる需要が見込まれています。

温度センサ




温度センサは、気温や温度を測定するセンサです。異なる金属を溶接して作る熱電対が有名ですが、他にも測温抵抗体、サーミスタ、バイメタルなど、金属が温度で変化する特性を利用した様々なセンサが存在しています。
また、直接触れられないモノの温度が測れる、非接触温度計もあります。これは物体の放射熱を測定してモノの温度を推定する方法で、測りたい温度ごとに特定の波長帯域を測定し、温度に変換します。
製品などの熱分布を一目で測定したい場合には、熱画像センサという広い範囲の熱放射を測定できるセンサもあり、開発工程における熱設計などに活用されています。

<用途>
気温を測る用途としては、エアコンやコーヒーメーカなどの家電にはもちろん、建物や工場、ビニールハウスなどで温度管理をするためのデジタル温度計などに利用されています。
また、物体の熱を測る用途では、より幅広い所に利用されています。例えばスマートフォンやPCなどの電子機器には、内部が高温になりすぎないよう監視するための温度センサが入っています。製造ラインでは、部品の焼結温度のチェックなど、品質を保つために温度監視が欠かせません。製鉄所など、超高温のため直接温度が測れない場所では非接触温度計が活用されています。

湿度センサ


湿度センサは、文字通り空気中の水分を検知し、湿度を測定するセンサです。
主に水分を電気抵抗として検知する抵抗式と、水分を静電容量として検知する容量式の2通りがあります。
<用途>
一般家庭では、エアコンや冷蔵庫、乾燥機や加湿器などに使用されています。またプリンターにも乾燥や高い湿度を検知するために湿度センサが使われています。工業分野では食品工場や半導体、医療機器など、様々な分野で製品の品質を保つため、湿度センサにより湿度が厳密に保たれています。他にも気象データの計測や、農業用IoTにおける水やり管理などにも活用されています。
前述した温度センサなどと並行して使われることが多いです。

圧力センサ


圧力センサは、ダイアフラムという膜を内部に持ち、膜にかかる圧力を感圧素子により電気信号に変えるセンサです。
物理的に加えられる圧力以外にも、気圧や高度を測定される際にも活用されます。気体や液体など、測る材質によって最適なセンサの構造は変化します。

<用途>
家庭用としては体重計や掃除機、洗濯機や食洗器などの用途があります。また、産業用では高度計や血圧計、油圧計、水圧計など多岐にわたる用途があり、スプレー塗装の均一さを実現する用途などもあります。また自動車においては、安全の確保はもちろんのこと、燃費を良くするために液体や気体の圧力を厳密に管理するためにも使用されています。
上に立った人を検知するセンサーマットなどもあり、侵入禁止のセキュリティ対策や、工場における危険エリア内の人を検知して機械を緊急停止させるなどの安全対策としても使われています。
近年、人間のような動きをするロボットが開発されていますが、その手足にも圧力センサが搭載されており、卵を持つなどの繊細な動作を実現しているのには、埋め込まれた圧力センサが多大な貢献をしています。

地磁気センサ


地磁気センサは別名電子コンパスとも呼ばれ、その名の通り地球を取り巻く磁気を検知し、磁場の大きさ、方角を知ることができるセンサです。
地磁気センサは高感度なことが多いのも特徴で、他の物体による地磁気の変動を捉え、物体を検知する用途や、位置・姿勢を検知する用途にも利用されています。
<用途>
方位検知を利用した用途では、カーナビやスマホに搭載して進行方向を把握するなどの、電子コンパスとしての利用が多いです。
また、他にも地磁気の変動検知を使った用途は多岐にわたります。例えば磁束密度の変化を計測することで、ドアやノートPCなどモノの開閉を検知したり、金属異物を検出するなど、非接触で物体検知が行えるのもポイントです。非接触スイッチとしても利用されています。
他にも、位置・姿勢の制御を高精度に行える特徴を活かし、VR/AR向けのアプリケーションにも活用されています。

距離センサ


距離センサは、内部から光や超音波を照射し、反射された光・超音波を評価・演算して距離に換算して出力するセンサです。
光は応答速度が速く、遠距離でも正確な距離が測定でき、対して超音波は物体の色や形状、粉塵などの遮蔽物の影響を受けにくいメリットがあるため、用途や環境によって最適なセンサを選ぶ必要があります。また、反射型や透過型といった違いもあります。

<用途>
製造業でのワーク検知や位置測定では、単純なレーザ光センサや超音波センサが多数使われています。レーザセンサを窓や扉に取り付けることで、簡単に侵入検知を行い、セキュリティを高めることも可能です。

また、車の衝突検知では、光の位相差を検知するLiDARセンサやミリ波を使ったレーダーセンサ、超音波センサを組み合わせて精度の非常に高い障害物検知を実現しています。赤外光を照射して返ってくるまでの時間を計測することで、3次元の形状検知が行えるTOF(Time Of Flight)センサなどへの応用も行われています。

その他のセンサ


センサにはその他にもさまざまな種類がありますので、きっとあなたの用途にぴったりのものが見つかるはずです。

まとめとして



IoT需要の影響もあり、世界のセンサ市場はこの10年で約3倍に拡大し、2020年には約6兆円規模になると予想されています。そして、そのセンサの世界シェアの半分近くを握っているのは、他ならぬ日本企業です。
メーカーにとって大きなチャンスであるばかりでなく、国内のIoT事業者にとっても大きなアドバンテージとなるでしょう。

IoTの活用事例12選!暮らしやビジネスまで分野別に紹介
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サックルマガジン編集部

デジタルクリエイティブの最新情報を発信する情報マガジン「サックルMAGAZINE」の編集部です。運営会社サックルは「ニーズがあるクリエイター集団でい続ける」を掲げ、創業13年目を迎えました。デジタル領域のプロとして、メディアを通じて多くのビジネスマンに有益な情報を発信しています。

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