IoT 身近な成功事例の根っこにあるマーケティング思考を理解する

2018/07/30

IoT 身近な成功事例の根っこにあるマーケティング思考を理解する

IoTとマーケティングの相互補助的なやさしい関係

IoTではモノやAIを通じてユーザーの情報が収集・分析され、その人にとって最適のサービスが、最適のタイミングで提供されるようになります。
それってつまりマーケティングです。高精度のIoTとは上質のマーケティングそのものです。

デバイスから集められるデータは、精度が上がるほど膨大になり、人力では到底解析できません。そこでAIの出番となります。AIは、デバイスと息の合った連携を見せ、それを制御し、無数にあるデバイスのそれぞれに個別の指示を出すという(人間にとっては)離れ業を当たり前のようにこなします。

そう聞くと、サービスの供給過程で生身の人間に果たせる役割があるのか、と少々怖気のする疑問も生じます。実際そう遠くない将来、開発も、製造も、セールスも、すべてAIが担う時代がやって来るでしょう。

しかし、そのサービスがどうして人を喜ばせるのか、そのプロセスを機械が理解するのはまだまだ先のことです。サービスの仕組み作りは当面人間の仕事です。そして、サービスの本質(=根っこの部分)を考える上で、マーケティング思考はとても役に立ちます。

今記事では、身近なIoTの成功事例を見ながら、その根底にあるマーケティング思考を見ていきます。

IoTで実現する上質のマーケティング

IoTで史上最速・最短の買い物


まずご紹介するのは、ご存じAmazonがプライム会員向けに実質0円で販売している「Dash Button」です。
モノとしては至極単純で、文字通りただのボタンですが、それをプッシュするだけで商品の購入が完結し、翌日にも玄関先にその商品が届く、という仕組みです。

ティッシュや洗剤、飲料など、繰り返し購入される消費財がメインとなります。たとえば洗剤であれば、洗濯機の近くにこのボタンを置き、洗剤がなくなりそうだと気づいたタイミングでボタンを押す。次の買い物で忘れずに洗剤を買おうと覚えておく必要もなく、スマホでアプリを開き、履歴から商品を選んで再購入、という10数秒の手間すら解消します。

事前にこちらの情報を登録しておく必要はありますが、Wifiを使ってインターネットに接続するだけの簡単なデバイスで、「買い物」という行為を極限まで簡素化した事例といえます。

もちろんまだまだ改良の余地はあります。たとえば、商品を見比べて少しでもお得なものを買いたいとか、買い続けなければならないものだからこそ前回とは違うものを使いたい、という消費者心理にまでは対応できていない点です。

とはいえ、消費財の買い物は極力簡単に済ませたい、という強い欲求もありますので、今後こうしたサービスが進化して浸透していくのは間違いないでしょう。

IoTで来店客の行動を見える化


玩具専門店の日本トイザらスでは、2018年7月から一部の店舗において、センサーや天井に設置した端末を通じて、入店から購買、退店までの来客の動きを可視化するプロジェクトを始動させました。

来店客が何を見て、何を手に取ったか、店舗での顧客体験を見える化することで、商品や店員配置の効率化を図り、よりよいサービスの提供を目的とします。

これまでデジタルマーケティングでは、顧客の行動分析はオンラインに限られ、実店舗での行動と直接関連付けることはできませんでした。しかし、この方法が浸透すれば、どのような情報を得て来店した客が、店舗内でどのような行動を取るかなど、個々の顧客に即した詳細な分析が可能となり、広告と購買の関連性をより精密に測定することも可能になります。

「自販機を探す」という面白さ


続いてご紹介するのは、日本コカコーラの「Coke ON」です。
自販機をIoTポータルに見立て、スマホアプリと連動させることで、顧客とさまざまなコミュニケーションを図ろうというものです。
基本的な使い方として、対応の自販機にスマホをかざして商品を購入すると、アプリ内でスタンプが押され、それが規定数たまると1本無料に、というものです。受け取りも自販機で行え、無料クーポンを知人にプレゼントすることもできて、リファラルの増加につながっています。
サービス開始から2年半を経て、対応自販機が全国で25万台、アプリのダウンロード数が920万を超えています。
顧客は、参加型のコンテンツとして自販機を探すという新たな価値を得られ、メーカーは他の飲料メーカーから顧客を奪えるという、まさに一石二鳥のマーケティングの神髄といえます。もともとあった自販機をデバイスとして活用した、IoTの好事例ともいえるでしょう。

身近なIoT事例から見えてくること

Dash Buttonは、消費財の不足に気づいたまさにそのタイミングで商品を購入でき、それについて考える煩わしい時間を一気に解消してくれます。
トイザらスの事例では、来店客の店舗内行動をデータ化して解析し、顧客の買い物をより快適に最適化することが可能となります。
Coke ONでは、対応自販機が表示される地図をアプリ内に配置し、目についた自販機で飲みものを買うという一般的な消費者行動に、自販機を探す、という新たな付加価値を付けることに成功しました。

基本的にIoTでは、すでにあるデバイス(機器)をインターネットに接続することで、新たな価値を生み出すことを目的とします。ボタンや自販機など、デバイス自体に高度な技術は必ずしも必要とされません。
新たな価値を生み出すために、商品やサービスの根底に、顧客の不満や不足をいかに取り除くかという、マーケティングの思考が活用されます。
完成した製品やサービスをいかに売るかだけでなく、開発段階からマーケティングを組み込むことで、より精度の高いIoT事業を展開できるといえるでしょう。

まとめとして

IoTは今後さらに急速に世の中に浸透・発展していきます。そこではAIが、人間に代わってさまざまな役割を果たすことになります。
IoTを活用した製品やサービスが、いかにして人間の幸福に寄与できるか、その点を考え抜く力が必要です。
マーケティング思考を身に付けることで、人間が果たせる役割はさらに重要なものとなるでしょう。

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