では、このような質問にはどのように答えれば良いのでしょう?それを考えるためには、なぜこのような質問がされるのか、どうすれば自分のオリジナリティを入れて回答できるのか、などを知っておく必要があります。
そこで、エンジニアとしての理想像などを問われる理由や、参考にしたい回答例をご紹介します。
「どんなエンジニアになりたいか」の質問意図とは
・自社にどのように貢献してくれるかを見定めたい
・エンジニアの仕事に対する理解度を知りたい
・エンジニアに向いているかどうかを確認したい
・自社に合っているかどうかを判断したい
以上のような理由から、「どんなエンジニアになりたいか」を質問していると考えられます。質問の理由を把握していないと的外れな回答になってしまう可能性がありますので、まずは面接官の意図をおさえましょう。
それぞれの理由について、もう少し掘り下げてご説明します。
自社にどのように貢献してくれるかを見定めたい
面接官には、自社に貢献してくれる人材を確保する責任があります。たとえば採用した人がまったくやる気がない、成長しない、すぐに辞めてしまう、といったことがあると、採用の判断をした面接官にも一部責任があると言えます。
逆に言えば、採用した人材が活躍すれば面接官に先見の目があったということになります。例外はありますが、基本的には面接官もその企業に所属している社員なので会社に評価してもらいたいと考えています。
「あなたは弊社にどのように貢献してくれますか?」と聞けばよりシンプルなのでしょうが、これだと直接的すぎるので「どんなエンジニアになりたいか」と言葉を変えて尋ねている場合もあるということです。
エンジニアの仕事に対する理解度を知りたい
上で説明した自社への貢献が何より重要なのですが、そのためにはエンジニアの仕事に対する理解度も重要になります。エンジニアの仕事を理解できている人の方が、自社に貢献してくれる可能性が高いからです。
エンジニアの仕事の理解度と言っても、どういうことか想像しづらいかもしれません。具体的には、仕事内容に対して勘違いをしていないことが重要です。たとえば、常にワクワクできる、自分の力でアプリやシステムを動かす、人とコミュニケーションを取らなくて良い、といった勘違いが、エンジニアという仕事に対しては少なからずあります。しかし実際は、多くの場合、地道な作業の連続で、また周囲ときちんとコミュニケーションを取りながら、そこに関わる多くの人たちと仕事を進める必要があります。
エンジニアに向いているかどうかを確認したい
エンジニアの仕事を正しく理解した上で「向いている」ということも重要な要素です。映画やドラマやアニメの影響で、エンジニアは変わり者の天才に向いている、といったイメージを持たれることもあるでしょう。
実際そのような人もいることはいますが(笑)、少なくとも会社員のエンジニアには、社会人としての当たり前の常識や協調性が求められます。1人で作れるプロダクトには自ずと限界があり、才能だけで大きな仕事ができるというのはきわめて稀なケースであると理解しておきましょう。
自社に合っているかどうかを判断したい
エンジニアの仕事を理解していて、向いているという前提のうえで、さらに自社に合っているかの判断も重要です。本人が望んでいる業務内容と自社の業務内容がズレている可能性もあります。
たとえば、応募者は世の中にインパクトを与えるような目立つ開発がしたいと希望しているが、自社で扱っている案件は業務システムが中心、といった場合です。このケースでは明らかにニーズと実態が乖離しているので、仮に採用しても、仕事がつまらない、もっとやりがいのある仕事がしたい、などの理由で早期退職してしまう可能性が高くなるのです。
「どんなエンジニアになりたいか」という質問への回答例
仮に面接官の意図を把握したうえで的確な回答をしていても、オリジナリティがないと表面的に取り繕っているように思われる可能性が高いでしょう。それでは多くの候補者の中で埋もれてしまいます。そうならないためには、自分の考え、過去の体験などを織り交ぜて回答する必要があります。
ただし、本音と建前があるので、すべて本音を言えば良いというわけではありません。仮に「エンジニアだと将来的に独立しやすいから」「消去法で選んだ」「比較的給与がいいから」などの理由からエンジニアを目指している場合は、言い回しを変えたり他の理由に結び付ける必要があるでしょう。
以下で、ケースごとの回答例をご紹介します。
「稼げるエンジニア」になりたい場合
「私は、顧客に価値を提供できる市場価値の高いエンジニアになりたいと考えています。その理由は、顧客満足度を高められ、自分自身も評価されればそれが仕事のやりがいになるからです。
このように考えたきっかけは、大学1年生から4年生までやっていた塾講師のアルバイト経験にあります。私は、生徒が楽しみながら授業に臨み、なおかつ成績が上がるようにするにはどうすれば良いか試行錯誤を続けました。
その結果、担当している生徒全員の成績が上がり、中には平均60点前後だったテストの点数が平均90点を超えるようになった生徒もいます。その結果、生徒は勉強を好きになり、また私の塾講師としての評価も向上し、給料にも還元されました。
エンジニアとしても同様に、顧客に高い価値を提供し、その結果自分自身が評価されるようになりたいです。」
「将来的に独立して自由に動けるエンジニア」になりたい場合
「私は、臨機応変に動けるエンジニアになりたいです。なぜなら、技術の世界は変化が激しく、求められるスキルや仕事が常に変わっていくと考えているからです。
私は学生時代にシステム開発の案件を受注した経験があり、クライアントとの交渉や開発中のエラー問題の解決などを通して、柔軟な対応力を養いました。この経験は、御社でエンジニアとして採用していただいた後も、必要に応じて臨機応変に立ち回る力となるはずです」
まとめ
今回ご紹介した回答例では、企業への貢献と自己成長が同時にできることを強くアピールしています。自己成長という強い動機がある人材の方が仕事へのモチベーションが高く、結果的に企業への貢献度合いも上がります。
こういった面接官の心理を考え、自分の体験談を使ってオリジナルのアピールをしていくことが重要です。