本記事では、ITインフラを構築する「インフラエンジニア」の種類や仕事内容について、わかりやすく解説していきます。
インフラとは
ITにおけるインフラとは
大企業内には社内システムがあり、社内システムを動かすための基盤が必要です。
サーバやネットワーク機器は、専用の棚(ラック)に格納されます。ラックの中には、ネットワーク機器やサーバが収容され、機器に電源供給するためのサーバ用のコンセントがあり、機器から電源ケーブルで接続されています。
一方ネットワーク機器には、LANケーブルが機器から機器へ接続され結線されています。
ITにおけるインフラとは、このようなサーバ室全般の機器(電源、ラック、サーバ機器、ネットワーク機器)のことです。
オンプレミスとは
2000年代の後半から、「クラウド」というサービスが世の中で少しずつ広まってきました。
オンプレミスという言葉は、この「クラウド」に相対する概念として世の中に出てきました。
オンプレミスは、自社内にサーバ室などの設備を有して、企業が自社設備内でコンピュータが動く基盤を用意するものです。
インフラエンジニアは、企業のシステム要件に従って、要求されたシステムが動作する基盤を用意します。
クラウドとは
クラウドは、サーバなどの機器やサービスを、クラウドベンダーがインターネット上に用意することで、各種サービスをユーザーに提供しています。
有名なクラウドサービスは、Amazon Web Services (AWS)、Microsoft (Azure),GoogleCloudPlatform(GCP)などがあります。
インフラ部分はインターネット上に用意されているため、企業ではインフラを用意する必要がありません。
現在、多くの企業では、オンプレミスも存在し、クラウドサービスも利用しています。
IT全体の流れは、オンプレミスからクラウドへという方向です。
インフラエンジニアの種類
サーバエンジニア
サーバエンジニアは、オンプレミスでは、ネットワーク機器以外のすべてを対象にし、設計、構築を実施します。
具体的には、2000年代に世の中に普及した仮想化技術で、仮想サーバのソフトを物理サーバにインストールします。今では大半のサーバは仮想基盤の上で動作しています。
仮想基盤の上に、WindowsやLinuxなどのサーバOSをインストールして、アプリケーションが動作する基盤を構築していきます。冗長構成を実装したり、監視システムを導入したりします。
オンプレミスだとこれらの作業がすべてあるのですが、クラウドだと作業は限定的になります。
ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアは、WAN、LAN、ファイアウォールなどネットワーク機器を導入します。
ネットワーク設計を実施し、設計内容を機器に設定していきます。ネットワーク設計やネットワーク機器の設定は、高度な技術レベルが要求されるので、ネットワークエンジニアという職種が存在します。
ITアーキテクト
インフラを初期導入する場合に、ネットワーク、セキュリティ、運用、性能と要件は多岐にわたり、選択する製品は山ほどあります。
インフラエンジニアの上位の職種は、ITアーキテクトです。
ITアーキテクトには3つの専門分野があるのですが、インフラエンジニアの上位は、インフラストラクチャ・アーキテクチャという専門分野になります。
あまたあるIT製品群からお客様のニーズを把握したうえで、最良の製品を選択し導入します。
IT全般にかかわる深い知識が要求されるとともに、ユーザーニーズをくみ取る高度なコミニュケーション能力が要求されます。
インフラエンジニアの仕事内容
以下で仕事内容について説明していきます。
ハードウェアの保守期限
オンプレミスに導入したサーバには、保守期限があります。
保守期限を過ぎたハードウェアは保守できないことから、期限切れのハードウェアをリプレースするのが一般的です。
インフラエンジニアの作業として一番多いのは、この保守期限対応のリプレース案件です。
仮想基盤にのっているサーバの場合は、ハードウェアは仮想基盤のソフトウェアが対応しますので、保守期限切れ対応とはならないのですが、今度はミドルウェアの保守期限切れがあったりします。
このような場合は、サーバなどの基盤ではなく、基盤上に乗っかるゲストOSだけがリプレースの対象になったりします。
ITシステムを使用する企業は、何かあったときの後ろ盾として保守継続することを条件にする場合が多く、インフラエンジニアの仕事が継続してあるのもこのような保守期限の対応があるからです。
要件定義
要件定義では、導入するシステムに対する、お客様の要件をヒアリングし、要件定義書としてまとめます。
システムを導入する場合には、一般的に「アプリケーション」を作成するチームと「インフラ」を担当するチームに分かれます。
インフラ側では、アプリケーションが動く基盤を提供しますので、サーバなどを選定し、要件としてまとめます。
その際、動かす基盤を提供する以外に、停止は許せるか、許されるとしたらどれくらいの時間かなどをヒアリングし、可用性を定義します。
レスポンスタイムなどの性能、障害が起きたときの検知や通知方法などの運用保守性を定義します。
セキュリティ要件も定義していきます。
要件定義が終了次第、要件定義書を提出します。
設計と構築
要件定義書に従って設計を行っていきます。
サーバであれば各ドライブの容量、必要とするサービスの起動・停止設定など、インストールや設定するときのパラメータを具体的に記述していきます。
最終的には、設計書は、パラメータシートに落とし込まれます。
このパラメータシートに従って、インストール、設定を行うのが構築です。
構築が完了すれば、設計どおり動作するかテストを行います。
テストはテスト計画書を作成し、一つ一つの項目に具体的なテスト手順を記載して、テストを行っていきます。
テストが終了次第、お客様へシステムを引き渡します。
運用保守
お客様に収めたシステムは引き渡しから運用保守フェーズに移行していきます。
障害があった場合には、障害の原因を切り分け、インフラに起因する障害であれば対処をします。
なお、購入した製品に保守契約があれば、購入元に障害の内容を伝えて、対処方法を教えてもらい対処をします。
インフラエンジニアの働き方
インフラエンジニアの仕事のある会社に就職する
インフラエンジニアになるためには、お客様からの一次請けをしているSIerに入社するのが一つの方法です。
また、ネットワーク機器やサーバ機器を販売している会社、それらの機器の代理店などに入社するのも一つの方法です。
フリーランスとして案件をうける
経験を十分に積んでフリーランスとして働くことも可能です。
ただ、初心者がフリーランスのインフラエンジニアとしての仕事につくことは非常に難しいです。
また、オンプレミスからクラウドへのシフトをしていくと、インフラエンジニアの仕事もクラウドへ移行していきます。
常に新しい技術をキャッチアップしていくことが求められます。
まとめ
インフラエンジニアは、地道な作業をコツコツ続けられる人、モノづくりが好きで、新しい技術を習得することに意欲のある人に向いています。
2025年の崖問題、エンジニア不足など差し迫った状況下で、今後ますますその需要が高まることが予想されています。