ペルソナマーケティングの具体的な手法や有効性

マーケティング

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ターゲットをより明確にし、マーケティングの精度を上げるための手法であるペルソナ設定。

この記事では、ペルソナ設定がどういったものなのか、マーケティングにおいてどのように役に立つのか、ペルソナ設定は具体的にどのように行なうのか、といった点を解説していきます。

マーケティングにおける「ペルソナ」

まずは、「ペルソナ」とは何か、また、ペルソナをマーケティングに活用した場合にどのようなメリットがあるのかなどについて解説していきます。

ペルソナとは


ペルソナは、直訳すると「人格」という意味ですが、マーケティングにおけるペルソナとは、「企業が提供する商品やサービスにおいて、最も典型的な顧客像」のことを指します。
企業が商品やサービスを開発する際は、まずどういった層に向けたものにするかを決定します。
この際に用いられるのが「ターゲット」「ターゲティング」です。

  • 30代

  • 男性

  • サラリーマン

  • 既婚


このようにざっくりとした属性が設定されたものがターゲットとなります。
このターゲットに対して肉付けを行い、より具体的な顧客像にしたものがペルソナです。

  • 名前 : 鈴木太郎

  • 年齢 : 37歳

  • 性別 : 男性

  • 職業 : 営業職のサラリーマン

  • 年収 : 900万円

  • 結婚 : 既婚

  • 子供 : 小3の息子と小1の娘

  • 趣味 : キャンプ

  • ライフスタイル : 休日は毎週のように家族で出かける


このように、顧客像を細かいところまで設定し、「本当にこういう人が存在するのではないか」というレベルまで落とし込みます。
そして設定したペルソナに対し、どのような商品やサービスを開発し、どのように訴求するかを決定していくことをペルソナマーケティングと呼びます。

ペルソナを設定するメリット


「なぜわざわざ顧客像の細かい設定が必要なのか?」
「ターゲットだけで充分ではないのか?」
そう考える人も多いかもしれませんが、ペルソナを設定することには大きなメリットがあるのです。

イメージを共有しやすくなる


前述したターゲットである「30代/男性/サラリーマン/既婚」のみだった場合、ターゲット層へのアプローチ手法を策定するのは困難です。
年収はどれくらいなのか。
趣味はインドアなのかアウトドアなのか。
子供がいるのか、また子供との関係はどうなのか。
これらの要素を定めておかないと、自社内でのイメージがバラバラになってしまい、どのような商品を開発し、どのように訴求していくかというマーケティングが正確に行なえません。
ところが、比較的年収が高く、趣味がキャンプで、休日には家族で仲良く出掛けることが多いという詳細な設定があれば、社内の人間同士で顧客像に対してイメージを共有しやすくなります。
必然的に、どういった商品を開発すればいいのか、どういった販売手法が有効か、というマーケティングを効率よく進めることができます。

顧客目線で考えることができる


具体的な人物像があることにより、社内の人間が顧客像の立場で客観的に自社商品やサービスを見ることができるため、そこで感じた率直な意見を言うことができます。
場合によっては、顧客像とほぼほぼマッチした社員もいるでしょうから、的確な指摘や意見を得られる場合もあります。

具体的なアプローチ方法をイメージしやすい


ペルソナがはっきりすることで、具体的にどのようにしてアプローチして自社商品やサービスを訴求するかという方法がイメージしやすくなります。
例えば、先ほど例に挙げたペルソナ設定の場合。

  • 名前 : 鈴木太郎

  • 年齢 : 37歳

  • 性別 : 男性

  • 職業 : 営業職のサラリーマン

  • 年収 : 900万円

  • 結婚 : 既婚

  • 子供 : 小3の息子と小1の娘

  • 趣味 : キャンプ

  • ライフスタイル : 休日は毎週のように家族で出かける


この鈴木太郎さんは、比較的年収が高めで、家族仲が良く、アウトドア好きということがわかります。
であれば、親子で使えるような高価格帯のキャンプ用品を開発して、年収が高めの世帯が集まる街にある、家族連れの多い大型ショッピングモールで展示会を開く、といった販売ビジョンが浮かんできます。

ペルソナマーケティングの注意点


ペルソナを設定する際に注意しなければならないのが、「自社にとって都合の良い顧客像を勝手に作り上げないこと」です。
自社の持つ技術を考慮してしまい、気付かないうちに顧客ニーズを満たさない自己満足な商品が生まれてしまうというケースもあります。
ペルソナの設定は、あくまで第三者の視点から冷静に行なうべきです。
また、一度作り上げたペルソナ設定を信用しすぎず、データを集めて何度も見直しを行なっていくことも重要です。

ペルソナの設定方法

大前提として、自社が「B to B」なのか「B to C」なのかによってペルソナ設定のやり方はまったく異なります。
ここでは、より一般的である「B to C」のケースについて紹介していきます。

自社の強みを生かせるマーケットで勝負する


まずは、自社がどういう会社なのか、どういった強みがあるのか、市場動向はどうなっているのか、といった点の洗い出しを始めることがスタートです。
勝ち目のないジャンルに参入しても、敗北は明らか。
そうならないためにも、「この市場なら勝負できる」「自社の強みが生きる」ということをはっきりさせ、戦うべきマーケットやターゲット層を確定させましょう。

ターゲットの情報をできる限り収集


勝負する市場が決まったら、次は情報収集です。
ペルソナを設定する際、先入観や少ないデータをもとにするのは危険です。
ターゲット層の中でも特に多いと思われる具体的な顧客像こそがペルソナなのですから、それに近づけるため、できる限り多くのターゲット層の情報収集が必要になってきます。
企業規模や販売規模によって、どれくらいのデータを収集すればいいのかは異なりますが、費用をかけてでも可能な限り多くのターゲット層にアプローチすべきです。
具体的な情報収集手段としては、以下のようなものがあります。
アクセス解析
TwitterなどのSNS
アンケート会社に依頼
街頭インタビュー
なお情報収集の際は、できる限り多くの項目を用意することが大事です。
結果的に使わなかった項目があってもダメージはありませんが、「やっぱりこの項目もあればよかった」は取り返しがつきません。
必要なさそうに思える項目でもとりあえず設置し、できるだけ多く情報を集めるよう心掛けてください。

集まった情報をもとにペルソナを作成


集めたデータをもとに、「最も典型的な顧客像」を浮き彫りにしていきます。
年代、性別、既婚か未婚か、子供の有無、趣味などです。
イメージしやすいように、写真・イラストのどちらでもいいので、顔についても設定します。
注意点としては、ペルソナはできるだけ詳細に設定した方がよいとはいえ、あまりに無関係な項目まで入れたりしないことです。

ペルソナの検証


完成したペルソナが間違っていないか、独りよがりなものになっていないか、の検証を行います。
コールセンターを持っている会社ならば、普段から直に顧客と電話で接しているオペレーターたちにペルソナを見せ、判定してもらってください。
オペレーターたちは無意識のうちに顧客イメージを作り上げていることが多いはずですので、作成したペルソナに対して客観的な意見をくれるはずです。
また、直接ターゲット層にアプローチして確認するのも有効です。
アンケート会社に依頼したり、謝礼付きでターゲット層の人たちを募集したりして、作成したペルソナに対してどういう印象を持つのかという情報を収集します。
顧客イメージとペルソナがかけ離れているようならば、また最初から練り直しとなります。
中途半端なペルソナでは役に立ちませんので、第三者が見てもしっかり納得できるペルソナになるまで徹底的に磨き上げることが重要です。

ペルソナマーケティングでの有名な成功事例

ここで一つ、ペルソナマーケティングにおける有名な成功事例をご紹介します。

それは、スープ専門店である「Soup Stock Tokyo」の事例で、「秋野つゆ」というペルソナ設定です。

【秋野つゆ】
■女性
■37歳
■都内在住
■バリバリのキャリアウーマン
■独身または共働きで、経済的に余裕がある
■社交的だが、自分の時間も大切にする
■個性的でこだわりがある
■シンプルでセンスの良いものを追求する
■装飾より機能を重視する
■フォアグラよりもレバ焼きを好む
■プールに行ったらいきなりクロールから始める

まるで実在するかのようなこの「秋野つゆ」さんに、お店に通ってもらうためにはどうしたらよいのか、という課題についてとことん向き合うわけです。

メニューはもちろん、味や値段、立地、店構え、店内の作りや雰囲気など、秋野つゆさんが気に入るであろうものを目指してマーケティングを進めていきます。

例えば、【フォアグラよりもレバ焼きを好む】という設定があることで、「秋野さんならただ高級食材を掛け合わせたような商品は注文しないはずだから、大衆的な素材を使おう」となりますし、【シンプルでセンスの良いものを追求する】・【装飾より機能を重視する】という設定からは、「いたるところに装飾品を並べてあるような店内より、シンプルで動線のわかりやすい店内にしよう」という結論に辿り着きます。

詳細なペルソナがあるため、こういった意思決定がスムーズかつ的確に進んでいくのです。

そして現在、Soup Stock Tokyoは全国に60以上の店舗を構えるという成功を収めています。
ペルソナマーケティングの有効性がよくわかる非常に有名な事例です。

最後に:ペルソナマーケティングは今も重要なマーケティング手法

検索エンジンで「ペルソナマーケティング」と入力すると、候補ワードとして「古い」が1番目に登場します。

こう言われてしまう理由は、インターネットやAIの著しい発展によるものが大きいです。
今では、ネット上でのユーザーの行動を細かく分析して最適な広告を出せるような仕組みもあるため、わざわざ人力でペルソナを設定してマーケティング材料にする必要などなく、時間の無駄だと考える人もいるようです。

しかし、こういった意見はまだ一部。
将来的にはわかりませんが、現時点ではまだまだペルソナマーケティングは有効です。

かつて通用したようなぬるいペルソナ設定は古いと言われても仕方がない場合もあるのかもしれませんが、現代の環境を鑑みつつ、最新のマーケティングスキルをキャッチアップしながら設定されるペルソナは、まだまだ利用価値があるでしょう。
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サックルマガジン編集部

デジタルクリエイティブの最新情報を発信する情報マガジン「サックルMAGAZINE」の編集部です。運営会社サックルは「ニーズがあるクリエイター集団でい続ける」を掲げ、創業16年目を迎えました。デジタル領域のプロとして、メディアを通じて多くのビジネスマンに有益な情報を発信しています。

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