自社では十分な開発要員を調達できない、技術的なノウハウがないなどの理由で、他社にシステム開発の協力を依頼するということはよくある話です。
しかし、アプリケーション開発会社というのは多数存在しますし、まさに玉石混交です。開発会社の選び方が適切でなかった場合、プロジェクトが途中で頓挫してしまったり、要件を満たさないアプリケーションが出来上がってしまう場合もあります。
ここでは、アプリケーションの開発業務を他社に依頼する際、どのように開発会社を探し、選択していくのが良いのか、アプリ開発会社の選び方にしぼって解説していきたいと思います。
アプリ開発会社の選び方①|アプリケーション開発会社に依頼するのはどんな場合?
- 事業会社(所謂ユーザ系企業)において情報システム部門に十分なSE・PGがおらず、開発を行うノウハウ・人員が足りていないため、開発業務を依頼するケース
- アプリケーションを開発するにあたり、そのコアとなる部分にクラウドサービスや何らかの製品の技術を使いたいものの、そのノウハウが足りていないため、サービスや製品の販売元に開発を依頼するケース
- 事業会社からアプリケーション開発業務を請け負ったものの、自社では人員が足りないため、パートナー会社に協力を依頼するケース
などです。
つまり、自社がアプリケーション開発業務の発注元の立場なのか、元請けの立場なのかでも、アプリケーション開発会社の選び方というのは変わってきます。上記の例では、1や2が発注元になるケース、3が元請けとなるケースです。
ここでは、アプリケーション開発業務を発注する1や2の立場から、アプリ開発会社の選び方のノウハウを記載していきます。
アプリ開発会社の選び方②|アプリケーション開発会社の探し方
アプリケーション開発会社の候補を探すのに一番良いのは、過去に開発を依頼した実績がある会社に依頼することです。
安易に思われるかもしれませんが、実績があるというのは大事なことで、開発会社のプロジェクトの進め方や成果物の品質を分かっているということは大きな安心感があります。
また、意外に無視できないのが契約面です。新規にアプリケーション開発会社にプロジェクトを依頼する場合は、守秘義務契約、基本契約、個別契約など様々な契約を一から締結しなければなりません。
それぞれの契約に対して法務的な確認が必要になりますので、思ったより手間や時間がかかります。
契約条件が折り合わず、開発のスケジュールが圧迫されてしまうことも珍しくありません。
それら契約に関する労力が省けたり、開発プロジェクトの進め方を理解できているということから、一度開発を依頼した実績のあるアプリケーション開発会社に再び依頼するケースが多いというのが実情です。
しかし、品質が良くない、スケジュールが守られないなど、過去の実績に疑問符がつく場合や、使いたい製品や技術に対してのノウハウが足りていないと判断される場合は、新しく開発会社を探す必要が出てきます。
そのような場合に、どのようにアプリケーション開発会社を探し、アプローチしていくのかについて確認していきましょう。
ITフェア・展覧会で探す
発注先の開発会社に当てがない場合であっても、開発したいアプリケーションに対しては、何らかのキーワードが浮かぶことが多いと思います。例えば、CRM、電子化、IoT、ERP、モバイルなどなど…。
また、システム化対象の企業が属する業界にしても、金融業、建設業、物流業など、様々な業界があります。
それらのキーワードを元にWebで検索してみると、年に数回、各所で○○業界向けのITフェアや展示会のようなものが開催されていることがわかります。それらの会場に足を運び、各開発会社の担当者から直接話を聞いてみることは、有効な手段です。
ITフェアや展示会であれば多くの開発会社が一ヶ所に集まっていますので、1日でいくつもの会社から話を聞き、複数の候補をピックアップすることが可能です。
発注したい候補が見つかったのならば、後日個別に詳細な打ち合わせを設定していけば良いでしょう。Webなどで検索した企業に一社一社当たるよりも効率的です。
ホームページから資料請求
また、Webで検索した開発会社に直接問い合わせをしてみるという手段もあります。通常は、開発会社のホームページに問い合わせフォームが用意されていますので、資料請求などを行えば大抵の場合はすぐに連絡がもらえるはずです。
ホームページ上に記載されている過去の開発実績の記載をよく確認し、開発対象のシステムや、開発言語、プラットフォーム、得意とする業界などがマッチしている場合は、問い合わせしてみるのも良いかと思われます。
また、ITフェアなどで、その場では名刺交換などができなかった場合などでも、あとから話を聞きたいとなった際には、改めてホームページから問い合わせを行うということでも良いでしょう。
ビジネスマッチングサービス
開発会社のホームページから問い合わせを行う場合は、一社一社検索・チェックし、開発を依頼した内容に適合する実績があるかどうかを確認していく必要があります。
一社一社探し出すのもなかなか骨の折れる作業ですし、適切な企業を探し出せるとは限りません。Webで検索しても、たまたま上位の方に表示されているというだけかもしれませんし、検索するキーワードによっても検索結果は変わってしまいます。
そのようなユーザの声を受けて、最近では、開発業務の発注元と開発会社をマッチングするサービスが登場してきています。
発注元の企業情報や、開発対象のシステムや業務内容、地域、大体の予算やスケジュールの概要を入力して依頼をすると、要望にマッチすると思われる開発会社の情報を紹介・仲介してくれます。場合によっては、マッチングサービスの担当者のヒヤリングを受ける必要がある場合もあります。
アプリ開発会社の候補がそろったところで、次章でアプリ開発会社の選び方を解説します。
アプリ開発会社の選び方③|アプリケーション開発会社の選び方
一社のみの提案では、提示された開発内容が適切かどうかわかりませんし、相見積もりをしなければ費用やスケジュールの交渉のしようもありません。
また、一社ずつ提案を受け、検討し、希望にマッチしなければ次を探す…ということをしていては、開発会社を決めるだけで時間がなくなってしまいます。開発会社の選定に時間がかかり、肝心の開発スケジュールが圧迫されるということもなりかねません。
そのため、できれば一度に複数社からの提案を受け、比較検討を行いたいものです。それには、RFP(Request For Proposal:提案依頼書)の作成が必須になります。
あらかじめピックアップした複数のアプリケーション開発会社に対してRFPの内容説明を行い、期限を定めて同時に提案をしてもらうのが良いでしょう。適切なRFPが作成されていれば、複数の開発会社に説明を行なったとしても、説明の濃度が異なるということもありませんし、スタートラインを合わせて公平な提案を受けることができます。
複数の開発会社から提案を受けることができたのであれば、評価表を作成して各社の提案を比較検討していきます。
評価表の項目には、
- 提案の内容の適切さ
- 費用
- スケジュール
- 同様のシステムやアプリケーションの開発実績
- 保守サポートの手厚さ
- 会社規模、パートナー企業の有無
などを含めます。
費用については、構築時の初期費用だけではなく、保守費用などのランニングコストなどを含めた金額で評価することが大切です。初期費用プラス、5年もしくは7年程度のランニングコストで計算するケースが多いと思われます。
ただ評価項目に対して点数付けを行うだけではなく、評価項目の重み付けを行うことが大事です。費用を重視したいのか、スケジュールを重視したいのか、案件ごとに重要な項目は異なってくるはずですので、点数と項目の重みを掛け合わせて評価点が決まるように表を作成したいものです。
それら評価表に基づいてアプリケーション開発会社を決定し、結果を各社に通達する、というのが失敗しない開発会社の選び方になります。
アプリ開発会社の選び方④|まとめ
開発プロジェクトがスタートすれば、様々な問題も発生します。問題発生時に適切な対応がとれる会社なのかどうかも判定しておかなければなりません。しっかりとした実績と年数を経ている会社を見極めることが大切です。
そのためにも、いくつかの会社を比較してみるということはとても大事なことです。慎重に、長く付き合えるアプリケーション開発会社を選定していきましょう。