企業のカラーに深く関わるコーポレートカラーの決め方とは

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三菱UFJ銀行は何色ですか。

ローソンは何色ですか。

 

このように質問されたら、すぐに「赤」または「青」と答えることができるのではないでしょうか。

三菱UFJ銀行のコーポレートカラーは赤で、ローソンのコーポレートカラーは青です。

 

多くの人が三菱UFJ銀行やローソンのコーポレートカラーを即座に言い当てられるのは、このロゴをすぐに思い浮かべるからでしょう。



両社はロゴだけでなく、店舗やパンフレットなどにも赤や青を頻繁に使い、消費者にコーポレートカラーを印象づけています。

 

企業経営やマーケティングにおいて、企業カラー(企業のイメージ)が際立っていることは有利に働きます。

そして、企業カラーを際立たせるために、企業の色である「コーポレートカラー」を持っておくことは有効です。

企業カラーを定着させるメリット

カラーの日本語訳は色ですが、「企業カラー」という言葉の「カラー」には次のような意味があります。

<「企業カラー」とは>

・企業のイメージ

・企業の性質

・企業の特徴

・企業の社風

・事業イメージ

・社員イメージ

・商品イメージ

企業が、このような企業カラーを明確にできると、さまざまなメリットが生まれます。

消費者が商品を買うとき、複数の選択肢のなかから選びます。そのため自社製品を消費者に買ってもらうには、消費者の選択肢リストのなかに自社商品を入れてもらわなければなりません。

しかし大抵の消費者は、豊富な商品知識を持っているわけではありません。つまり、企業がいくらよい商品をつくっても、消費者にその情報が伝わっていない可能性があります。

では消費者は、何を元に商品の選択肢リストをつくっているのでしょうか。それは、イメージです。

企業カラーを明確にして、それを消費者に伝えることができれば、消費者にイメージを持ってもらうことができます。

企業カラーを消費者の記憶に定着させるには、広告を打つ必要があります。広告によって消費者は「どういう企業か」「どういう商品か」を知ります。

ただ、広告は無数にあるので、自社の広告を消費者に認知してもらうのは「相当な工夫」が必要になります。

その工夫の1つがコーポレートカラーです。

「赤色の銀行といえば三菱UFJ」「青色のコンビニといえばローソン」というふうに、消費者が色で企業や商品を認識するようになると、広告効果が出やすくなります。

企業カラーとコーポレートカラーの関係

新興企業や、これまでコーポレートカラーを決めていなかった企業は、慎重に自社の色を決めましょう。なぜなら、一度決めたコーポレートカラーは、長く使うほど効果が出やすくなるからです。

消費者にコーポレートカラーが浸透してきた段階で色を変えてしまうと、それまでのPRコストが無駄になるだけでなく、消費者が混乱します。そして、新しい色をコーポレートカラーとして定着させるまでに、またPRコストがかかります。

コーポレートカラーを決めるときは、いわゆる「企業カラー」との整合性を取るようにしましょう。企業カラーに「精悍」なイメージを持たせたいのに、コーポレートカラーに「ふんわり」した色を選択するのは得策ではありません。

また、経営者が好きな色をコーポレートカラーにするといった安易な選択も避けたほうがよいでしょう。従業員がコーポレートカラーにアイデンティティを見出しにくくなるからです。

「なぜその色なのか」と尋ねられたときに、「この色には、こういうイメージがあり、当社の想いにマッチするからです」と答えられるようにしたいものです。

色にはいろいろな意味がある

色にはいろいろな意味があります。そして、1つの色には必ずポジティブな意味とネガティブな意味があります。

例えば、黒が持つ死や葬式のイメージはネガティブですが、シャープさや落ち着き、静寂といったポジティブなイメージもあります。

コーポレートカラーの選定では、ポジティブな意味だけでなく、ネガティブなイメージも十分検討しましょう。

赤には、トップやリーダーというイメージがある


赤にはトップやリーダーというイメージがあります。それで、業界トップの企業は赤を選びがちです。例えば、赤をコーポレートカラーにしている三菱UFJ銀行は、メガバンク3行のトップです。バイク業界のトップ企業であるホンダも赤をコーポレートカラーにしています。

そのため赤は人気のコーポレートカラーですが、選ぶ企業が多く埋没しやすいというデメリットがあります。

業界1位の企業と5位の企業がともに赤を採用している場合、その業界の赤のイメージは1位企業に持っていかれてしまいます。これでは5位企業の赤は埋没してしまいます。

銀には、冷静や緻密というイメージがある


銀色には冷静さや緻密さというイメージがあります。銀色は、ステンレスやアルミなどの工業製品で使われる金属の色なので「きっちり」「しっかり」「がっちり」という印象を抱かせます。

銀色を選ぶデメリットは、お堅いイメージや融通が効かないイメージを与えてしまうことです。「退屈な色」と思われてしまうかもしれません。

オレンジには、元気なイメージがある


元気さをアピールしたい企業は、オレンジを検討したいところです。子供に太陽の色を選ばせるとオレンジを選ぶように、この色にはパワーがあります。そして、わかりやすさやくっきりさといった、潔いイメージもあります。

オレンジのデメリットは、単純なイメージです。わかりやすいイメージは、深くない、複雑ではない、簡単、を連想させます。

緑には、環境によいイメージがある


緑は植物や森林を連想させるので、これをコーポレートカラーに使うと地球環境に配慮している企業カラーを打ち出すことができます。

緑色を使うデメリットは、環境イメージが強すぎることです。環境関連の企業がこぞって緑を使っているので、独自色を打ち出しにくくなります。

青には、精悍、清潔なイメージがある


きれいな水や澄んだ空を想起させる青には、精悍さや清潔さをイメージさせる力があります。ミネラルウォーターのパッケージに青が使われるのは、そのためです。

青はあまりデメリットがない色ですが、あえて挙げるとすれば、インパクトが弱いことです。

環境イメージなら青より緑のほうが強いですし、シャープさなら青より銀や黒のほうが強いでしょう。

くすんだ色には、落ち着いたイメージがある


グレーや深緑や紺といったくすんだ色は沈んだイメージを抱かせるので、コーポレートカラーでは不人気色です。

しかし、不人気色だけに、くすんだ色は独自性を打ち出しやすくなります。また、くすんだ色には、「あえて表に出ない」「裏方専門」「硬派」「揺るがない」といったメッセージを持たせることができます。

紫は難しい


紫は、コーポレートカラーとしては難しい色といえます。紫には妖しさ、艶めかしさ、誘惑、毒、夜といったイメージがあるので、これを企業の事業と絡めることは簡単ではありません。「当社は妖しいビジネスをしています」とPRしたい企業は、そう多くないはずです。

白は使いにくい


白は、潔白、白紙、基本、清潔、優しさなど、よいイメージをたくさん持った色です。ただ、コーポレートカラーとしては、紫とは異なる意味で使いにくい色です。

それは白が「無」になることが多いからです。

紙もパソコン画面も建物の壁も、ベースが白になっていることが多いので、そのうえに白を置いても目立ちません。そのため、白をコーポレートカラーに使うと、別の色も一緒に使うことになります。そして、その別の色は黒になることが多いでしょう。なぜなら、黒は、白を最も強く際立たせるからです。

つまり、白を使うと、自動的に黒を使うことになります。黒と白は、葬式やパトカーの配色なので、ビジネスには向きません。

ただ、黒と白はパンダや乳牛の配色でもあるので、その方向に誘導できればコーポレートカラーとして成功するかもしれません。

ソフトバンクは白をコーポレートカラーにしています。ロゴにも白を使っていますし、テレビCMのキャラクターも白い犬です。それで、白を際立たせるために黒を多く使っています。

そして、不吉な配色である白黒のみにしないように、ロゴの「二本線」は銀色にしています。銀色なら、白黒のコントラストの強さを消さずに、白黒のネガティブさを薄めることができます。

 



画像引用:https://www.lawson.co.jp/index.html

まとめ~コーポレートカラーには説明できる色を選びましょう

色は直感に訴える力を持っています。そのためコーポレートカラーを定着させることに成功すると、色だけで企業の存在をアピールすることができます。

オレンジ、緑、赤の3色を見ただけでセブンイレブンを思い出す人は多いはずです。

セブンイレブンは、オレンジには朝焼け、緑にはオアシス、赤には夕焼けという意味を持たせていて、そこには「朝から夜まで、客のオアシスになりたい」という意味が込められています。

企業が自社のコーポレートカラーを決めるとき、意味を持たせるようにしたほうがよいでしょう。そうすれば、色だけで企業のメッセージを顧客に伝えることができるからです。
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