大企業はもちろんのこと、中小企業でも、コスト削減や業務効率向上を目的にWebシステムを導入するケースが増えてきています。
本記事では、Webシステムについて、その仕組みや導入のメリット、デメリットなどを解説します。
Webシステムとは?
ECサイトなどのオンラインショッピング、ネットバンキング、SNSなど、私たちの暮らしのあらゆる場面でWebシステムが使われています。
また職場においては、コミュニケーションツールや人事・経理システムをはじめ、数多くのWebシステムが使用されています。
Webシステムが主流になる前は、スタンドアロン型システムや、クライアントサーバ型システムが主流でした。
スタンドアロン型システムとは、ネットワークに繋がずに、1つのパソコンだけで完結するシステムです。ExcelやAccessを利用して業務を運用しているのであれば、それも一種のスタンドアロン型システムです。
クライアントサーバ型システムは、パソコンにプログラムをインストールして、サーバと通信をしながら、業務を行います。
スタンドアロン型や、クライアントサーバ型では、パソコンにプログラムをインストールしなければならず、メンテナンスが大変です。プログラムを変更するたびに、全端末に配布しなければなりませんでした。
その欠点を解決するのがWebシステムです。Webシステムでは、利用者は主にIEやChromeといったブラウザを利用するので、パソコンにプログラムをインストールする必要はありません。運用や管理のしやすさのため、Webシステムを導入する企業が増えてきています。
Webシステムの仕組みを解説
・クライアント…IE、ChromeのようなWebブラウザ
・サーバ…業務を処理
・データベース…データを保管
一般的にWebシステムでは、利用者がブラウザを使ってシステムを使います。ブラウザで入力した情報が、サーバに送信され、サーバ内で業務処理が行われます。必要に応じて、データベースにアクセスして、結果のHTMLがブラウザに表示されます。
スタンドアロン型やクライアントサーバ型と異なり、業務処理をサーバ側で行うことが特徴です。
また、サーバ側については、自社でサーバを管理するケースもあれば、AWS(Amazon Web Service)やGCP(Google Cloud Platform)といったクラウドを利用するケースもあります。
近年では、価格も安く管理もしやすいことから、クラウドが選択されるケースが多いです。
Webシステムのメリット
運用コストを下げられる
Webシステムは、運用コストが下げられるのが大きなメリットです。
従来のスタンドアロン型やクライアントサーバ型では、プログラムをクライアント(パソコン)に配布する必要がありました。1〜2台であれば、手作業でなんとかなりますが、数十台、数百台になれば、数日がかりの作業になります。プログラム修正のたびに、この工数が発生するので、運用コストは膨れ上がってしまいます。
一方、Webシステムでは、プログラムを変更する場合は、サーバの1箇所を差し替えれば完了です。従来に比べると大幅に作業時間の短縮をはかれます。
保守・管理が容易になる
スタンドアロン型やクライアントサーバ型だと、どのパソコンにどのバージョンのプログラムを使っているか管理しなくてはなりません。また、不具合が発生すると、そのパソコンのログを取得して調査をしなければなりません。
一方、Webシステムでは、サーバの1箇所だけにプログラムが入っているので管理が容易です。不具合が発生しても、サーバのログを調査すれば良いだけです。
このようにWebシステムでは、保守や管理が容易になります。
業務効率が改善される
Webシステムを導入することによって、業務効率が改善されるケースもあります。
スタンドアロン型では、ネットワークに接続していないため、外部にデータを送りたい時は、処理した結果をメールやFAXなどでやりとりしなければならず、業務に時間がかかるケースが多いです。
一方、Webシステムでは、ネットワークに接続しているため、あらゆるシステムと連携ができます。処理した内容を自動でメールできたり、ワークフローなどでスムーズに業務を回したりすることも可能です。
このように、Webシステム化することによって、業務効率が改善できるケースが多いです。
どこからでもアクセスが可能
スタンドアロン型やクライアントサーバ型のシステムでは、プログラムが入ったパソコンが必要でした。そのため、業務を行うには、出社が前提となります。
一方、Webシステムでは、ネットワークにつながっているので、社内だけでなく社外にシステムを公開することも可能です。
もちろんセキュリティ対策やアクセス制限を行う必要はありますが、自宅からでもWebシステムに容易にアクセスできるようになります。最近ではテレワークが推進されていることもあり、Webシステム化をすればテレワークのニーズにも答えられるようになります。
Webシステムのデメリット
導入コストが高い
これまでExcelやAccessなどを使って業務をしていたのであれば、Webシステムの導入にはコストがかかります。
ただし、業務効率が悪いという現状があり、Webシステムを導入することで大幅に業務効率が改善するのであれば、トレードオフの観点から十分元は取れます。
業務効率改善による人件費などのコスト減が、Webシステムの初期開発費やランニングコストを上回るのであれば、Webシステム化したほうが良いと判断できます。
セキュリティを強化する必要がある
Webシステムでは、ネットワークを使います。そのため、セキュリティ対策が必須になります。
Webシステムには、ハッキングやデータ改ざん、不正アクセス、情報漏えいなどさまざまなセキュリティリスクがあります。
セキュリティ対策は、プログラム面とインフラ面の両方の対策を行う必要があります。
プログラムにセキュリティ脆弱性があると、そこから情報漏えいにつながる場合があります。
インフラ面においては、サーバに不正侵入されると、あらゆる攻撃が可能となってしまいます。
近年Webシステムでのセキュリティ問題が増えているので、Webシステム化する上では、セキュリティ対策が非常に重要になります。
システム停止すると影響が大きい
スタンドアロン型であれば、ひとつのパソコンが故障したとしても、他のパソコンで業務が継続できます。
しかし、Webシステムの場合、サーバ側に障害が発生してしまうと、システムが全面停止してしまう可能性があります。
サーバ側のシステム障害を回避するため、影響度に応じて、サーバを二重化したり、データをバックアップしたりするなどの対策は必須です。
Webシステムを導入することで改善できる業務とは
業務プロセスの効率化
Webシステムを導入することで、手作業や複雑なプロセスを自動化できます。例えば、伝票処理やデータ入力などの繁雑な業務を自動化することで、作業時間の削減やエラーの軽減が期待できます。
情報共有とコラボレーションの強化
Webシステムは、チームメンバーや部門間で情報や文書を共有しやすくする効果があります。共有フォルダやドキュメント管理システムを使用することで、情報の一元管理と円滑なコラボレーションが可能になります。
リアルタイムなデータアクセスと分析
Webベースのデータベースやダッシュボードを活用することで、リアルタイムで最新のデータにアクセスし、業績やトレンドを分析できます。これにより、意思決定が迅速化し、戦略的な判断が可能になります。
顧客サービスの向上
CRMシステムの導入によって、顧客情報や取引履歴を一元管理し、個別のニーズに合わせたサービス提供が容易になります。顧客への迅速な対応やカスタマイズされた提案が行いやすくなります。
リモートワークと柔軟な労働環境の実現
Webベースのコミュニケーションツールやオンライン会議ツールを導入することで、リモートワークやフレキシブルな労働環境が実現できます。従業員は場所や時間に縛られずに業務に取り組むことができます。
トレーニングとスキル向上の支援
eラーニングプラットフォームを利用することで、社内トレーニングやスキル向上の機会を提供できます。従業員はオンラインコースを受講し、自身のスキルを向上させることが可能です。
在庫管理と供給チェーンの最適化
在庫管理システムの導入により、在庫レベルを最適化し、不足や過剰在庫を回避することができます。また、供給チェーン全体の透明性が向上し、調達や配送の効率化が図れます。
まとめ
これまで、ExcelやAccessなどで業務を行っていたり、クライアントサーバシステムで業務を行っていて業務がうまくいっていないのであれば、Webシステムを導入することによって大きく改善される可能性があります。
Webシステムを導入するまでには課題もたくさんありますが、導入すると、運用コスト減、メンテナンス性の向上、業務効率の向上、テレワークへの対応といったさまざまなメリットがもたらされます。
Webシステム化によって業務効率を向上させることができれば、余ったリソースで、さらなる戦略を打つことも可能です。
Webシステム化がまだ実現していないのであれば、一度検討してみてはいかがでしょう。