しかし、SEOを意識しているつもりが、効果や結果が出ずに悩む方も少なくありません。
今回はSEOに関する基礎知識やSEOにありがちな悩みと解決方法についてお話します。
SEOに関する基礎知識
SEOとは
SEOとはSearch Engine Optimizationの略称であり、「検索エンジン最適化」を意味します。SEOについて考慮・対策することで、検索結果の表示順位を向上させること、サイトやコンテンツの評価を高めることを目的としており、検索エンジンからの検索流入の増加=アクセスアップが期待できます。
昨今ではSNS上の検索ツールを利用して情報を取得するユーザーが増えたものの、Googleを筆頭とする検索エンジンを利用するユーザーが減ったわけではなく(下記参照記事によると、全世界で毎分240万回の検索回数があります)、検索流入によるビジネスへの影響は大きなウェイトを占めていると言えます。
参照:Google Search Statistics and Facts 2021 (You Must Know)
SEOによって検索結果の1ページ目の上位に表示されることで、ユーザーに選ばれる可能性は高まります。検索ユーザーの目に触れた回数でクリック数を割ったクリック率という指標を見ると、下図で明らかなように同じ1ページ目でも表示順位によってクリックされる回数が大きく異なることがわかります。
検索順位 | クリック率 |
---|---|
1位 | 28.5% |
2位 | 15.7% |
3位 | 11.0% |
10位 | 2.5% |
参照:Why (almost) everything you knew about Google CTR is no longer valid
裏を返せば、検索結果の2ページ目以降に表示されている星の数ほどあるサイトやページは、ほとんどユーザーの目に触れることすらないという厳しい現実があります。
これらのことから、企業や組織としてビジネスだけでなく、公的な広報や広告も含めて、SEOへの対策を考慮しながら、顧客・ユーザー・消費者・国民にリーチするための努力が必要となるのです。
SEOに関する誤解や勘違い
・SEOを行えば確実に検索順位が上がる
・有料かつ高額なSEO業者に頼まなくては効果がない
・コンテンツを量産すれば検索エンジンからの評価が上がる
・ドメインパワーの強いドメインを購入するのが近道
・新しいドメインは古いドメインより不利
上記はSEOに関する誤解や勘違いの一例ですが、これらは正しくもあり、間違っていると言えます。SEOに関する知識や手法、考え方はインターネット上に溢れており、そのどれもが「真実である」かのように語られていますが、当のGoogleが明言していないことも多く、どれが本質的に効果があるのか簡単には見極められないのが現状です。
また、かつてのブラックハットのような、「SEOがよくわからない」層をターゲットに、場合によっては検索エンジンからかえってペナルティを受けてしまいかねない手法を用いて検索順位を上げると謳う業者もあり、サイトやページをユーザーに提供する側としては、そうした真偽の定かではない情報に振り回されず、本質的なSEOに注力する必要があると言えるでしょう。
SEOのために最低限押さえておくべきこと
・HTMLやCSS、JavaScriptやPHPなどに関する正確な知識
・Googleなど各検索エンジンの提唱する指標や考え方
・客観的なツールを用いたサイトおよびコンテンツの分析
・アナリティクスやサーチコンソールの使い方や基礎知識
・コンテンツ制作やサイト構築時のSEO対策
上記はあくまでも一例ですが、SEOのために押さえておくべきもっとも基本的なことです。これらを踏まえて以下の基本施策を行い、SEOを実施するのが王道です。
・Webページとしてブラウザや各種OSに準拠したソースコードを出力すること
・外部ツールによる評価や検証と改善を疎かにしないこと
・外部ツールを利用した客観的な評価と数値的な結果を把握すること
すなわちSEOとは「新しい手法を使えばアクセスがアップ!」というような売り文句に該当するものではなく、豊かな土壌に種をまき、発芽から収穫まで手間を惜しまず地道に世話をして、コツコツと数字を伸ばし、コツコツと改善を行うものと考える必要があります。
そのためにも、アクセスやコンバージョンをあげる上で、どのような施策を行い、その結果どうなったか、どう改善すればもっと成績を上げられるか、という形で、不断にPDCAを回し続けることをおすすめします。なぜなら、世界最高レベルの技術力を持つGoogleという会社が、日常的にアップデートを繰り返している検索エンジンのアルゴリズムに対して、目先を欺くような手法で成果があげられるわけがないからです。
Googleを意識したSEOについては後段で改めて解説します。
SEOに効果的とされる手法について
SEOの手法の効果に再現性があるのか精査しよう
SEOの手法を試したい、導入したいと考えるのであれば、「その成果に再現性はあるか」を精査することが大切です。例えば、ドメインやサイトの方向性、コンテンツの量やコンテンツごとのボリューム、業界や業種など異なる部分があるのに、同じことをして同じ結果が得られるとは限らないからです。個人向けなのか、ビジネス向けなのかによってもやるべきこと、考えるべきことは違ってきます。
また、ポジティブな結果を期待していたのに、ネガティブな結果が出ることも珍しくありません。結果が出るまでに想定以上に時間がかかることも考えられます。SEOに対する知識や経験が少ない場合、情報やデータを間違って解釈したり、方法が正しくても必要な期間継続できずに満足な成果が得られなかったりということも考えられます。
結果としてこれまでに積み上げたドメインやサイトへの評価が下がってしまうことになれば、適切ではない方法でSEOを行うことで、検索順位にネガティブな影響を及ぼすことも考えられます。普遍性、再現性の低い手法に依存しすぎるのは適切とは言えません。
SEOの手法の効果がデータに基づいているかチェック
SEOの手法の効果測定がデータに基づいているか、同時に「正しいデータか」をチェックすることも大切です。SEO業者の中にはまれに悪質な会社もあり、「さまざまなキーワードで1位を独占!」や「月間◯◯◯ビューを達成!」など、聞こえの良い言葉で集客を行っている場合があります。
「正しいデータに基づいているか」、その信頼性も含めて検証する必要があります。適切なSEOを行えば、期間の長短こそあれ基本的に数字は上がっていくものですが、業者が提示する金額と具体的な成果が釣り合っているのか、データとして確認できるものかを確認すべきです。
Googleの考え方に反するような手法、データに信憑性がない場合は、そのSEO手法を使うべきではないと理解すべきです。
SEOの手法に注力し過ぎてユーザーを置き去りにしないこと
SEOの本質は実はシンプルなものです。検索エンジンが誰のためにあるかといえば、1つにはサイトやページ、情報やサービスを提供する企業や個人であり、もう1つは、検索エンジンを利用するユーザーや消費者ということになります。どちらが欠けても成り立たず、どちらも満足できる環境にすることが、Googleという企業の目標ということになるでしょう。その点を忘れずに対策を行っていけば間違いはありません。
SEOの手法そのものに注力し過ぎて本質を忘れ、ユーザーを置き去りにしないこと。良質なコンテンツと快適なサイトを構築することを目標にしましょう。
Googleを意識したSEOについて
Googleの品質に関するガイドラインを読んでおこう
“基本方針”
・検索エンジンではなく、ユーザーの利便性を最優先に考慮してページを作成する。
・ユーザーをだますようなことをしない。
・検索エンジンでの掲載位置を上げるための不正行為をしない。ランクを競っているサイトや Google 社員に対して自分が行った対策を説明するときに、やましい点がないかどうかが判断の目安です。その他にも、ユーザーにとって役立つかどうか、検索エンジンがなくても同じことをするかどうか、などのポイントを確認してみてください。
・どうすれば自分のウェブサイトが独自性や、価値、魅力のあるサイトと言えるようになるかを考えてみる。同分野の他のサイトとの差別化を図ります。
引用元:Google検索セントラル - ウェブマスター向けガイドライン(品質に関するガイドライン)
上記はGoogleが示した品質に関するガイドラインにある基本方針です。Googleの立場や目線を理解するためにも、知っておくべき項目と言えます。また、これらはSEO対策をする際、またはGoogleからの評価をアップさせたいと考えた時の基本であり、前提となる考え方ですので、しっかりと覚えておきましょう。引用元のURLには一般的なガイドラインや具体的なガイドラインについても説明がありますので、お時間のある時に読んでおくことをおすすめします。
UX(ユーザーエクスペリエンス)の向上を目指す意味
GoogleはUXの向上に積極的に取り組んでいます。
・コスト パフォーマンス
・顧客獲得コストの削減
・新規顧客獲得のための予算の増大
・小さな変化で大きな影響
参考元:Google広告ヘルプ - 1.2.3 ユーザー エクスペリエンス(UX)が重要な理由
上記はGoogleがUXの向上が重要な理由として示している4つのポイントです。UXや顧客目線、顧客の立場に寄り添うなどの言葉が、本質的にはサイトを運営する側の利益につながることがわかります。そもそも、ビジネスの基本としても「顧客が望むものを提供する」というのはごく自然なことであり、Webマーケティングにおいてもそれは同様です。
Googleの立場から見えるUXを重要視すべき理由は、企業や組織としてサイトやコンテンツを作成する際の基本でもありますので、小手先のSEOを学んで実践するよりも先に、これらの項目を理解し、サイトやコンテンツの骨格に埋め込むことから始めましょう。
ペナルティとなるSEOに注意しよう
SEOの手法の中にはGoogleのアルゴリズムや方針に逸脱しており、ペナルティとなるものが存在します。ペナルティの状況によっては、Googleから適切な注意があり、改善することでペナルティを解除してもらえる可能性もありますが、推奨されていないSEOには充分に注意しましょう。
また、知らず知らずのうちにペナルティとなるSEOを行わないようにするためにも、Googleから注意喚起されている内容ではないか、不正や悪質な手法でないかを見極めることをおすすめします。
SEOに関するよくある悩み
離脱率や直帰率が高く、回遊率が低い
良質なコンテンツの作成や内部リンク対策など、SEOの施策をもろもろ講じてはいるものの、離脱率や直帰率が改善せず、回遊率が低いと悩むことがあります。さまざまな原因が考えられることから、簡単には解決できない問題です。総じてこうした「手応えのなさ」は、ユーザーを楽しませたり有益な情報の提供を心がけている多くのマーケターやアフィリエイターを悩ませる種であり、苦労の多いコンテンツSEOの継続を困難にする障壁ともなります。
明らかに質の低いページに負けている
良質なコンテンツを制作しているのに、検索結果の順位で明らかに質の低いページに負けてしまうという悩みもあります。ドメインやサイトへの評価、関連性など、こちらもさまざまな要因があり、思うように改善しない場合があります。今までの努力は無駄だったかと疑心暗鬼にもなり、もっと手っ取り早く順位を上げる方法があるんじゃないか、そんなことを考えてしまう場合もあるでしょう。
利益や売上につながっている気がしない
SEOやコンテンツマーケティングは、時間も人も費用も必要とする施策です。思ったような検索流入が得られない、流入はあるが売り上げに結びつかないなど、成果を実感できないことでもネガティブな悪循環に陥ります。逆に、一過性のアクセス急増や利益増に一喜一憂してしまい、継続的な対策というSEOの本質が揺らいでしまうこともあります。
SEOに関するよくある悩みを解決する方法
ユーザーが長居したくなる工夫を取り入れる
離脱率や直帰率の低下、回遊率の向上を目指すには、ユーザーがそこに長くいたいと思わせる工夫が必要です。それにはさまざまな具体的なテクニックがあります。レコメンドなど関連するコンテンツの提案、ランキングや他のユーザーが閲覧している記事の提示、タグやキーワードを介したリンクの設置などは一例ですが、ユーザーの興味を尽きさせず、むしろ掻き立てるようなコンテンツや導線の設置が鍵をにぎります。
サイトへの評価やドメインパワーを意識する
良質なコンテンツを制作しているのにの上位表示されないのであれば、サイトへの評価やドメインパワーに難があり、検索順位の真っ向勝負の舞台にすら立たせてもらえていない可能性があります。権威性や関連性によっても変動するものではありますが、良質なコンテンツを作り続けるのと同時に、サイトの方向性や基盤作りについても意識してみましょう。タグの設計などは、手間がかかり知識を必要としますが、適切に行うことでサイトの骨格を強固にできます。ドメインに力があれば、良質なコンテンツが良質なコンテンツとして認められ、しかるべき相手との互角の戦いに持ち込むこともできるでしょう。
利益や売上につながる導線を再設計する
利益や売上につながらない場合は、検索流入から購入や課金へつながる導線がスムーズであるか、もしそうでないなら再設計することから始めてみましょう。直接的に購入や課金へつなげるだけでなく、問い合わせや資料請求など、まずはリードを獲得し、それを育てる仕組みを考えることも効果的です。もしかすると、流入は多いものの、自社のサービスとほとんど関係のないユーザーばかり集めてしまっていて、晴れた日に雨傘を売るようなチグハグな設計になってしまっているかもしれません。
コンテンツSEOやコンテンツマーケティングについて
コンテンツはデジタル資産として蓄積されるということ
コンテンツSEOやコンテンツマーケティングはサイトへの評価やドメインパワーの向上に効果があるとされています。実際にGoogleのガイドラインや考え方に沿って良質なコンテンツをアップし続けることは、マイナスになりにくく、プラスを積み上げる可能性は高いです。同時にコンテンツはデジタル資産として蓄積されることもあり、コンテンツが増えれば増えるほど、ユーザーとつながる機会が増える=潜在的な顧客層の分母が増えることでもあります。コンテンツSEOやコンテンツマーケティングは結果が出るまで時間がかかることもありますが、SEO対策とWebマーケティングの一環としてもおすすめしたい手法です。
ユーザーの安心感や信頼感が購入や課金につながる
ユーザーはパソコンやスマートフォンのディスプレイの前で、自分自身の意志で購入および課金を決定します。自分がそうする場合を想像してみてください。おそらく、どんなに慣れた人でも、オンラインショップやオンラインサービスに支払いをすることに、一抹の不安を感じるのではないでしょうか。すでに名の知れたサービスであれば別ですが、ほとんどの場合そうではなく、購入者の不安をまずは払拭する必要があります。そのためには安心や信頼が不可欠です。安心や信頼は、サイトやホームページの良質なコンテンツ、親切で快適な各種導線、操作性の良さ、問い合わせやチャットへの丁寧で素早い対応など、もろもろの要素が複合して形成されます。ユーザーの体験を上質なものにするためにSEOにできることはたくさんあり、ブレずにそこを目指すことで、時間はかかったとしても結果は自ずとついてくるでしょう。
企業や組織の「利益」とユーザーの「満足」のバランスが大事
サイトやコンテンツを提供する側、すなわち企業や組織としては、「企業や組織の利益が最優先」であるのは間違いありません。逆に言えば、「ユーザーにとって何が有益か」を理解し、実行しながら企業や組織としての活動すれば、「企業側とユーザー側、双方の利益」になるということです。
SEOの基本的な考え方や概念でもある部分ですので、しっかりと理解することをおすすめします。
まとめ:サイトやコンテンツを誰のために、何のために制作するのか考えよう
SEOについては、ある意味、正解がないものだとも言えます。なぜならGoogleとしても、SEOの正解=アルゴリズムの解明に辿り着かれしまえば、小手先のテクニックが横行し、情報を発信する側と受け取る側、双方が利益を得られる検索エンジンのあるべき姿から遠ざかってしまうからです。Googleのアルゴリズムは、小手先のテクニックでどうにかなる相手ではありません。誠実に、良質なサイトやコンテンツを作りなさい、という指針があるのですから、大人しくそれに従い、より深くその理念を理解することが近道と言えるでしょう。
そのためにも、まずはSEOの基本であるGoogleのガイドラインを読み解くこと、Googleのガイドラインを主軸として、検索エンジンのためにサイトやコンテンツ制作をするのではなく、ユーザーのために制作するという意識を徹底することが大切です。その上で再現性があり、正しいデータに基づいたSEOの手法を試し、PDCAを回し続けていくしかありません。