実は、サーバと一言で言っても、種類や用途によってさまざまな種類があります。
この記事では、サーバの意味や種類、用途について解説します。
サーバとは何か?
サーバとは?
サーバ(Server)とは、「PCやスマホなどの端末からの要求に応えて処理を実行するコンピューターやプログラム」を表します。代表的な例として、ホームページなどを格納しているWebサーバやメールなどを処理するメールサーバ、データを格納しているデータベースサーバなどがあります。「サービスの提供者」と考えるとイメージしやすいでしょう。
クライアント
クライアントとは、データの参照や処理の実行など、サーバに対して要求を行ったり、サーバからの結果を受け取るコンピューターやアプリケーションを指します。具体的にはPC、Webブラウザ、スマホアプリなどです。「サービスの利用者」と考えるとイメージしやすいでしょう。
サーバとクライアントの具体例
具体例を示して説明します。
私たちがブラウザを使ってホームページを閲覧するとします。
まずは、対象のホームページを閲覧するために、URLをブラウザに入力(もしくはブックマークに登録しているURLをクリック)します。クライアントであるブラウザは、インターネットを通じてURLで指定したWebサーバーにアクセスします。そして、Webサーバは対象となるWebページ(HTML)をインターネット経由で呼び出し元のブラウザに送信します。そしてブラウザは、Webサーバから受け取ったWebページを表示します。
この例では、ブラウザが「クライアント」、Webサーバが「サーバ」となります。
サーバの種類
物理サーバ
物理サーバとは、「1台の物理的なサーバ」を指します。具体的な例として、企業のファイルなどを管理する専用サーバなどがあります。
物理サーバは「専用サーバ」と「共用サーバ」の2種類に分けることができます。
「専用サーバ」とは、1台のサーバを1つの目的で専用に使用するサーバのことです。自由に設定やアプリケーションのインストールができる点がメリットです。また、ハードウェアを増強したい時、自由に追加できる点もメリットです。一方、サーバの構築や運用を自分で行わないといけないため、「サーバ設置の専用スペースを設けないといけない」、「サーバの構築費用や運用費用が高価になる」点がデメリットです。
「共用サーバ」とは、1台のサーバを複数の利用者で共用する、いわゆるレンタルサーバのことです。共用サーバーのメリットは、ランニングコストを抑えることができる点です。一方、共用で使用するために自由にカスタマイズできない点や、他の利用者の利用状況によっては処理に影響が出る場合があります。
仮想サーバ
一方、仮想サーバとは、「1台のハードウェアに、分割して複数のOSを動作させ、複数のサーバが動作しているように見せかけて稼働する仕組み」を指します。
物理サーバを複数用意するとなると、ハードウェアも複数用意しなければなりません。そうなると費用が高くなりますし、新しいサーバを用意する度に新たに動作環境を構築しなければなりません。
一方、仮想サーバは1台のハードウェア上に複数の動作環境を構築できるため、新たにハードウェアを購入する必要がありません。CPUやディスクなどのリソースを有効活用できる点がメリットです。
デメリットとしては、ハードウェア障害が発生すると複数の環境が停止するなど、専用サーバに比べて影響範囲が大きい点です。
仮想サーバには「VPS」と「クラウドサーバ」があります。
「VPS(Virtual Private Server)」とは、“仮想専用サーバー”という意味です。1台のサーバーを複数の利用者で共用するという点は共用サーバと同じです。しかし、1人1人にOSなどの動作環境が仮想サーバ上に構築されるため、専用サーバほどではないにせよ、OSやアプリケーションをある程度自由に利用することができます。また、他の利用者の影響を受けづらいメリットもあります。
「クラウドサーバ」は、クラウド環境上に作られたサーバです。代表的なクラウドサーバには、AWS(Amazon Web Service)やマイクロソフト Azureなどがあります。複数のサーバーに分散して運用されているため、必要に応じて自由にリソースを使用することができます。このため、柔軟性が高く、運用コストを抑えることができるため、利用者が増加しています。
サーバの用途
Webサーバ
「Webサーバ」とは、WebサイトやブログなどのWebページを表示するために、HTMLやCSS、画像ファイルなどのコンテンツを格納したサーバです。
メールサーバ
メールサーバは、メールの送受信を行うための環境を提供するサーバです。送信側がSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)サーバ、受信側がPOP3(Post Office Protocol)サーバとなっています。
データベースサーバ
データベースサーバとは、データベース管理システムが稼働しているサーバです。データベースにデータを格納し、データベース管理システムがクライアントからの要求に応じてデータを作成、読み取り、更新、削除を行います。
DNSサーバ
DNS(Domain Name Service)サーバは、IPアドレスとドメインを結びつける役割を担うサーバです。IPアドレスとは、インターネット上のサーバを識別する番号体系であり、それをわかりやすく名前をつけたものがドメインです。例えば、yahooのURLである“https://www.yahoo.co.jp“ならば、“yahoo.co.jp”がドメインです。ドメインをIPアドレスに変換、またはIPアドレスをドメインに変換します。
FTPサーバ
FTP(File Transfer Protocol)サーバとは、「ファイルを送受信する」役割を担うサーバです。クライアントからの要求があった時にファイルを送信するWebサーバと違い、利用者がPCとサーバ間でファイルのアップロードやダウンロードが可能となります。
アプリケーションサーバ
アプリケーションサーバはクライアントからの要求でアプリケーションを実行するサーバです。JavaScriptやPHPなどのプログラムで、データ処理や計算処理などを行います。
企業がサーバを利用する際の適切なサーバの種類と目的
ウェブサーバー
目的
ウェブページやコンテンツを提供するためのサーバ。インターネット上でアクセス可能なウェブサイトをホストします。
特徴
HTTPプロトコルに基づいてリクエストを処理し、ウェブページをクライアントに送信する。Apache、Nginxなどが一般的なウェブサーバーソフトウェアです。
アプリケーションサーバー
目的
アプリケーションの実行や処理を担当するサーバ。ウェブアプリケーションやバックエンドシステムをホストします。
特徴
クライアントからのリクエストを受け取り、ビジネスロジックの実行やデータベースへのアクセスなどを行う。Tomcat、WildFlyなどがアプリケーションサーバーとして使われます。
データベースサーバー
目的
データベース管理システム(DBMS)をホストし、データの保存と管理を担当するサーバ。
特徴
データの永続化と高速なアクセスを提供する。MySQL、Oracle Database、Microsoft SQL Serverなどが一般的なデータベースサーバーです。
ファイルサーバー
目的
ファイルやドキュメントを共有し、ユーザー間でのファイルアクセスと管理を支援するサーバ。
特徴
ファイルのセキュアな共有やアクセス制御を提供し、共有フォルダやリモートファイルアクセスを可能にします。
仮想化サーバー (ホスト)
目的
仮想化技術を使用して、複数の仮想マシンを実行するためのサーバ。
特徴
ハードウェアの資源を効率的に分割し、仮想環境を作成することで、複数のサービスやアプリケーションを同一の物理サーバ上で運用できる。
バックアップサーバー
目的
データのバックアップ、復元、保管を担当するサーバ。
特徴
データの定期的なバックアップと安全な保管を行い、災害発生時にデータの復元を可能にします。
まとめ
サーバ(Server)とは、「PCやスマホなどの端末からの要求に応えて処理を実行するコンピューターやプログラム」を表す言葉です。サーバーには大きく分けて、「物理サーバ」と「仮想サーバ」の2種類があります。物理サーバと仮想サーバには、それぞれメリットとデメリットがあります。
また、サーバの用途として、「Webサーバ」、「メールサーバ」、「データベースサーバ」などがあります。特に日常生活でインターネットを利用するようになり、PCやスマホで様々なサービスを快適に利用できるのは、クライアントからの要求に対してサーバが処理を行い、クライアントに結果を返すからです。このため、多くの企業で目的に応じて様々なサーバの構築が行われています。
とはいえ、サーバの構築には専門の知識やスキルが必要です。もしサーバの構築でお悩みであるならば、弊社にお気軽にご相談ください。