ラボ契約 ラボ型開発のメリット6選!その他の開発との違いも詳しく解説

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ラボ契約・ラボ型開発とはシステム開発形態の一種で、専用のエンジニアチームを外部に編成し、システム開発を行うという手法です。エンジニアチームは、日本国内に限らず、海外で編成される場合や、海外と日本とで編成される場合もあります。

こちらの記事では、ラボ契約・ラボ型開発とはどのようなもので、従来の開発とどう違うのか。どのようなメリットがあり、どのようなシステムの開発に向いているのか。また、ラボ型開発を行う際の注意点についても解き明かしていきます。

ラボ契約・ラボ型開発に興味がある方はぜひ最後までお読みください。

ラボ契約・ラボ型開発とは

ラボ契約、ラボ型開発とは、システム開発を外部に委託する際の契約形態の一つです。

どのような特徴があるか、まずは従来型の開発と比較しながら確認していきましょう。

請負型開発との違い


請負型の契約は、主に成果物に対する契約です。納品される成果物に対して対価が発生します。したがって、手戻りや修正の必要が生じた場合は、契約変更や対価の増額等で対応することになります。システムの完成形がはっきり見えている場合や大型の案件に向いていますが、ラボ型開発と比較して柔軟性の面でやや難があり、テストと改善を繰り返しながら動的にシステム開発を行う新しいやり方には不向きであるとも言えます。

一方のラボ契約・ラボ型開発では、要件定義、設計、製造、テストから運用まで、どのフェーズからでも柔軟に対応可能です。完成形が明確に決まっているわけではなく、作りながらブラッシュアップを繰り返して完成形を目指すといった、これから新規事業や新サービスを立ち上げるリーンスタートアップが必要なシステムの開発にうってつけです。

準委任型開発との違い


準委任契約は、主に労働期間に対する契約です。具体的には、1か月単位で契約が行われ、発注側にシステム開発を指示する指揮命令権はなく、成果物に対する瑕疵担保責任もありません。ラボ型開発も準委任契約として結ばれる場合が多いですが、ラボ型開発は通常の準委任契約とくらべて期間が中長期間になります。その分品質の担保や人材の確保が非常に行いやすい、という特徴があります。

ニアショア、オフショア開発との違いは?


ニアショア開発とは、語源の『Near Shore(近くの海岸)』がさすように、近い場所にある企業や事業所に対してシステム開発を外注する形態です。また、類する開発手法として、オフショア開発があります。こちらは、『Off Shore(離れた海岸)』が意味するように、人件費が安い海外の企業へシステム開発を外注する形態です。

ニアショア開発・オフショア開発は、システム開発を行う場所視点での開発手法ということになります。一方ラボ型開発は、エンジニアチームの形態視点での開発手法であるため、そもそも比較する視点が異なっていますが、ラボ型開発のうち、専用のエンジニアチームを近隣の事業所や開発会社に発注すればニアショア開発、海外の事業所に発注すればオフショア開発ということにもなります。

開発手法による違い

つぎに、開発手法について確認してみましょう。

ウォーターフォール開発


ウォーターフォール開発は、要件定義、基本設計、詳細設計、テスト、リリースといった各工程を1つ1つ段階的に行っていく、従来型の一般的なシステム開発です。様々なシステム開発に幅広く対応できるという特徴があります。一方で、要件定義段階では○○人月、テスト段階では〇〇人月、のように、事前に期間や人員をしっかりと決めて行う必要があり、人員確保・調整の面で融通がきかないという側面もあります。

先に説明した請負型開発は、分析、設計、製造、テストなどそれぞれの工程を型にはめて行い、後戻りしないウォーターホール開発に適しています。

アジャイル開発


アジャイル開発は、設計、実装、テスト、フィードバックを短い期間で行うという一連のサイクルを繰り返してシステム開発を行う形態です。この形態では、要望や仕様の変更が何度発生しても柔軟に対応することが可能です。新規サービスの立ち上げなど、テストと改善を繰り返しながらシステムを進化・最適化させていきたい場合などに絶大な効果を発揮します。

ラボ契約、ラボ型開発もアジャイルでの開発を採用するケースが多く、ハイスキルな専属チームを形成することで、より高速、より効果的に改善を繰り返すことが可能になります。

ラボ契約・ラボ型開発の6つメリット

続いて、ラボ型開発のメリットについて紹介しましょう。

柔軟な開発が可能になる


ラボ契約、ラボ型開発の大きな特徴は、設計や製造、テスト、運用など、どのフェーズからでも柔軟に対応できる点です。その意味では、発注者からすると請負型開発に比べて自由度が高いと言えます。

システムやアプリ開発は、ある意味競合とのし烈な競争の場です。最近では、AI(人工知能)やAR(拡張現実)、VR(仮想現実)など、先端技術を活用した開発も少なくありません。1年も2年も前に決められたスケジュール通りにのんびり開発をしていては、同じようなシステムで先を越されたり、一歩先のUIやUXでリードされることも珍しくありません。途中で方針変更を余儀なくされることもあります。

そうした場合に仕様変更を容易にできるのが、ラボ契約、ラボ型開発の大きなメリットです。機能追加もできるうえ、見積の再調整は不要、そのまま変わらぬ流れで開発作業が継続できます。柔軟性とスピーディーな機動力、これがラボ型開発の一番の魅力です。

高速に開発が行える


システムのジャンルや開発言語に精通したスペシャリストを揃えることで、アジャイルのサイクルを高速で回すことができ、一般の手法よりも高速にシステム開発を行うことができます。

品質を担保できる


エンジニアを中長期間プロジェクト管理下に置けるため、一定以上の品質を確保することが容易です。また、人員のばらつきによる品質の上下も抑えることが可能です。

優秀な人材確保とコスト削減が可能


ラボ契約では、一定期間、優秀なエンジニアを必要な人数だけまとめて確保できます。それにより人件費を抑えることも可能です。同じ数だけ自社のエンジニアをそろえるのは、エンジニア不足の昨今簡単ではありませんし、無理をして集めたスタッフが必ずしも優秀とは限りません。その点ラボ契約であれば、一定上のスキルを有したエンジニアを正規で雇うより低い賃金で確保できるわけです。

複数の案件を委託できる


ラボ契約は、エンジニアとの有期間の契約であるため、その期間が続く限りタスクを自由に委託できます。開発、稼働するシステムが一つではない場合など、手の空いたエンジニアを別のプロジェクトにアサインすることも可能で、複数のプロジェクトを同時に動かす場合にも適していると言えます。プロジェクトが変わっても、関係性が深まっているため、一から新たにチームを作るよりスムーズに移行することができます。

ノウハウが蓄積しやすく緊張感が保てる


ラボ契約・ラボ型開発の場合、契約期間中は委託先のエンジニアを自社のスタッフのように自由に活用できます。その期間が長くなれば、それだけ開発のノウハウが蓄積され、社内文化への理解も深まります。一旦契約が終了しても、追加のタスクが生じた場合、密な関係性を維持したまま新規のプロジェクトをスタートさせられます。開発では良好なチームワークがものを言いますので、エンジニアの実力も気心も知れていることのメリットも、非常に大きなものがあります。

また、自社の社員同士だと馴れ合いが生じる場合もありますが、ラボ契約の場合、密な関係性を築いたとしてもあくまで違う会社の社員同士ですので、適切な距離感を保つことができ、良い意味で緊張感を保ちやすく、共通の目的に向かって手を合わせることができます。

ラボ契約・ラボ型開発のデメリット

ラボ契約・ラボ型開発のメリットを見てきましたが、少なからずデメリットも存在しますので、確認しておきましょう。

カントリーリスク


オフショアとして海外の企業とラボ型開発を契約する際は、カントリーリスクが存在することを知っておく必要があります。カントリーリスクとは、契約先の企業が所属する国特有の、ビジネス上のリスクです。具体的なカントリーリスクとしては以下のようなものが挙げられます

・コンプライアンス意識の低い国であれば、情報漏洩の危険性がある

・新型コロナウイルスの感染拡大等によるロックダウンで出勤不可になる可能性も

・国によってはストライキが多く、エンジニアチームが長期に渡って出勤しないことも

また、仕事に対する考え方も国によって違い、祝日等も異なるため、文化を意識したプロジェクトの進め方を行う必要があります。

ブリッジエンジニアのスキルに依存


オフショアとして海外の企業とラボ型開発を契約する際は、基本的に日本語に長けた外国人技術者の統括マネージャー(ブリッジエンジニアといいます)とコミュニケーションを行い、案件を進めていきます。ところが、ブリッジエンジニアは日本語の扱いは長けているものの、日本で生まれ育ったわけではないので、日本人特有の行間が読めないケースも多々あります。また、ブリッジエンジニアがITに疎い場合は、こちらの仕様がうまく伝わらない場合があります。このように、ブリッジエンジニアのスキルに依存したコミュニケーションに関するリスクが存在します。

ラボ契約・ラボ型開発を行う際の注意点

実際にラボ契約、ラボ型開発を行う際の注意点も見ていきましょう。

ラボ型開発には、魅力的な面が多々ありますが、ポイントをおさえて契約しなければ、期待したほど成果があがらない恐れもあります。

仕事不足にならないようにする


ラボ契約は期間を定めた契約であり、予定していた開発業務が想定より早く終了しても、契約そのものは終了できません。よって、もし追加の案件がなければ期間内は仕事がなくとも報酬を払い続ける必要があります。一見不条理に思えるかもしれませんが、委託先の企業も他の案件をよそにそのプロジェクトに特化して貴重な人材を投入している事情を考えると、致し方ないでしょう。とはいえ、損失になりかねませんので、仕事量に即した期間&チーム編成を行うようにしましょう。

コミュニケーションを密にする


ラボ契約では、たしかに発注者専属のエンジニアチームが設けられますが、必ずしも自社内でともに仕事をするとは限りません。エンジニアたちが身をおくのは、先方のオフィスというケースもあれば、オフショア開発なら基本的に海外になります。よって適度にコミュニケーションをとり、定例会議を行うなどして進捗状況を細やかに把握することが重要です。

また会社が違えば、仕事に取り組む姿勢や考え方が大きく異なることも珍しくありません。ましてや海外なら、仕事や時間の捉え方、生活習慣や宗教も異なるため、こちらが常識で当然と思い込んでいることが、相手にとっては全く理解できないというケースも存在します。さらに時差を計算に入れて指示や確認のタイミングも工夫する必要があるでしょう。

よって、こんなはずではなかった、こちらはこう言ったのに…といった残念な結果を招かないためにも、相手に間違いなく伝わる質の高い仕様書作りや優秀なブリッジSEやプロジェクトマネージャーの起用、報連相がしやすい関係作りなど予防策に注力することが必須です。オフショアの場合セキュリティ面でも不安があり、またプロダクトの質を最優先にしたいという場合は、国内の開発会社とラボ契約を結ぶことをおすすめします。

事前によく調査して実績やレベルを確認する


システム開発もアプリ制作も目に見えてはっきりと形に残るものです。そこに誤魔化しはききません。よってこちらが意図した成果物かどうかは、一目瞭然。想定通りのスキルや経験を持つエンジニアであれば、こちらの満足できる製品を納めてくれるでしょう。しかし、そのレベルになければ、プロジェクト失敗の可能性もあります。

よって、エンジニアのレベルはもちろん、委託先の企業がどれだけの実績があるかを事前によく見極めることが重要です。

ラボ契約はどんな会社に向いている?

ラボ型開発はどのような会社に向いているのでしょうか。向いているケースを見ていきましょう。

・スタートアップ、ベンチャー

雇用するほど資金がない、スポットで優秀な人材がほしい、新規自社サービスで優秀なエンジニアを少数だけ期間縛りでほしい、といったニーズがあるスタートアップにおいては、ラボ契約・ラボ型開発は非常に向いているとされています。

・大企業

あまりスキルがいらない案件は安く外注したい、といった大企業のニーズについても、マッチします。

・開発会社

エンジニアの採用が難しく、技術力があって継続的に仕事が入ってくるが案件数をさばき切れないといった場合は、ラボ型開発に外注して案件をさばく、といったケースが考えられます。

大量の案件を外注してさばけるようにする、エンジニアを一定数一気に確保する、システム開発におけるコストを下げる、といった開発会社ならではのニーズに対しても非常にマッチしていると言えるでしょう。

ラボ契約・ラボ型開発の今後の動向

ラボ型開発は今後、以下の理由で増加していくと考えられます。

システム開発の高速化


現在、様々な事業を行うためにはITシステムが不可欠になっていますし、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進により、システム開発の需要は急速に伸びています。これにより、多様かつ大量なシステム開発案件を高速にこなしていく必要性が生じています。この傾向は今後もさらに顕著になっていくと考えられるため、システム開発を高速に行うことができるラボ型開発の需要は今後も伸びていくことが考えられます。

コロナによる影響


従来であれば、システム開発はSES(System Engineering Service)の社員を現場に常駐させて行うケースが非常に多くありました。現在はコロナ禍により、テレワークが広まってSESのメリットが薄れています。具体的にはテレワークが進むことにより、常駐が厳しくなり、管理者も稼働状況の把握が難しくなっています。ラボ型開発であれば、ニアショア・オフショア開発で一定のチームを中長期にわたり契約する形態であるため、常駐を行うことなしにシステム開発が進められます。SESによる常駐開発の受け皿として、今後ラボ型開発が普及することが予想されます。

 

サックルのラボ型開発


サックルのラボ型開発は、以下の特徴があります。ラボ型開発を進めたい、ラボ型開発について詳しく知りたいという場合は、是非お問い合わせください。

・豊富な実績

システム開発やプロジェクトの実行について13年の実績をもっております。豊富な実績により、円滑にシステム開発を行うことができます。

・バランスのいい人材

システム開発には、インフラやバックエンドだけでなく、UI/UXの知識も必要です。サックルでは、数々のプロジェクトで成功を収めてきたデザイナーがUI/UXを担当するため、システム開発に必要な領域をバランスよくカバーした人材をアサインすることができます。また、マーケティング部門があるため、システム開発後もユーザーへの認知拡大までサポートが可能です。

・多様な対応領域

Webサイト開発で一般的に利用されるHTML、CSSから、モバイルアプリ開発ので利用されるObjective-C、インフラとしてデファクトスタンダードとなっているAWSやGCPといった様々な対応領域で、幅広いニーズに対応できます。

 

まとめ


ラボ契約・ラボ型開発のメリットと従来型の開発との違い、ラボ契約のメリットやデメリット、ラボ契約を行う際の注意点、今後の動向について記してきましたがいかがだったでしょうか。

国内、海外に関わらず、ラボ契約・ラボ型開発には多くのメリットがあります。ただし、ラボ契約の場合、アウトソーシングといっても決して業務の丸投げではありません。相手企業とは、繰り返し協議を重ねて要件定義を行い、システムの完成に向けてともに歩んでいく「同志」のような関係といえるでしょう。よって、相手にどのような役割を求めるのか、あらかじめ社内でしっかりと話し合っておくことも大切です。

プロジェクトが始動して途中で仕様変更したい場合でも、ラボ契約・ラボ型開発であれば、見積もりの調整は不要、柔軟に対応してもらえるので安心です。そして、事前にしっかり調査をし、優秀なエンジニアがいて実績もある企業を見つけられれば、ラボ型開発で満足のいく成果が得られるに違いありません。
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サックルマガジン編集部

デジタルクリエイティブの最新情報を発信する情報マガジン「サックルMAGAZINE」の編集部です。運営会社サックルは「ニーズがあるクリエイター集団でい続ける」を掲げ、創業13年目を迎えました。デジタル領域のプロとして、メディアを通じて多くのビジネスマンに有益な情報を発信しています。

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