「一見うまくいっているが、もっと効率よく業務を行いコストを下げる方法はないか」
そういった悩みを抱えている、経営者や工程管理者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、品質・コスト・納期の観点から少しでも現状を改善し生産性を高める上で、多くの会社や工場が導入している生産性管理システムに関して、その”導入メリット”を併せて紹介いたします。
本記事をお読みいただくことで、あなたの会社や工場において業務フローの見直しや、生産管理システムを導入するための基礎知識、また、QCDを改善するための具体的な方法をご理解いただけるでしょう。
それでは順番にみていきましょう。
生産管理システムとは
日本の製品やソフトウェアの技術力と品質の高さが世界有数であることはみなさまご存知でしょう。
その”ものづくり”の土台をガッシリと支えているのが「生産管理システム」です。
日本工業規格(JIS)によると、生産管理システムは「生産工程における製品や情報、原価などを総合的に管理するシステム」と定義されております。狭義において生産管理システムは「QCDの観点から利益を最大化できるよう生産計画の立案を支援するパッケージ」と定義できます。
一方で、広義における生産管理システムは生産管理システムを含む下記の7つシステムで構成されます。
- 生産管理システム
- 販売管理システム
- 購買管理システム
- 工程管理システム
- 在庫管理システム
- 原価管理システム
- 品質管理システム
この中で、販売管理システムと在庫管理システムに関しましては、別記事にて詳しく紹介いたします。
以上7つの管理システムをうまく融合し社内の統合されたシステムを構築することで、工程を一元管理・最適化することが販売管理システムの広義の定義となります。
生産管理システムの目的と効果【メリットは何?】
QCD全体が改善する
製造の全工程の情報を把握し管理できる
順番に見ていきましょう。
QCD全体が改善する
企業にとって、Quality(品質)、Cost(コスト・費用)、Delivery(納期)の3つは顧客満足度の観点からも最も重要な指標です。生産管理システム導入の一番の目的は、この3つを総合的に改善すること。
「生産性の観点から、効率化だけに特化して改善するだけではダメなの?」
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、企業にとって最も大事なのはやはり”品質”。昨今のリコールなどの品質不具合事例からも分かるように、品質問題を発生させると顧客の信頼を失うのは一瞬のことです。
会社に合った生産管理システムを導入することで、製造工程のリードタイムを削減させたり手入力・手作業による人的ミスを軽減させたりと、生産能力を向上させることができます。単純作業をシステム化、バッチ処理化することでコンピューターに任せることで、人は計画立案や現場改善検討といった機械化が難しいより本質的な業務に取り組むことができ、結果として納期の短縮および品質面も向上することでQCD全体が改善されるのです。
製造の全工程の情報を把握し管理できる
業務工程において、生産管理システムを販売管理システムや在庫管理システムなどと組み合わせて使用することで、個別業務を統合的・包括的に管理することができ、各工程のフローを一連の流れとして全体を把握することができます。
全体を管理することで、各工程のインプットとアウトプットに基づき、生産計画や販売計画を立案できることが大きなメリットとなります。

生産管理システムを導入する際の注意点【デメリットもあります】
具体的には下記の3点です。
システムの規模、および導入するシステムの数によりイニシャルコストがかかること
システムを運営するためのコスト=ランニングコストが発生すること
業務フローの見直し、マニュアル・手順書の整備、および従業員への教育が必要であること
順番に見ていきましょう。
システムの規模、および導入するシステムの数によりイニシャルコストがかかること
導入しようとしているシステムの規模や導入を検討するシステム、つまりは下記7つの管理システムの内のどのシステムの組み合わせを適用するかによって、システムを導入するコストは変わってきます。全てのシステムをフルスペックで同時に導入しようとすると費用も高くなり、導入に二の足を踏む経営者や工場管理者の方も少なくないでしょう。
短期的な収益悪化の可能性を踏まえた上で、長期的なビジョンを持ち生産管理システムを導入する必要があります。
生産管理システム
販売管理システム
購買管理システム
工程管理システム
在庫管理システム
原価管理システム
品質管理システム
システムを運営するためのコスト=ランニングコストが発生すること
初期投資のイニシャルコストのみならず、生産管理システムを維持・管理していくためには、運営費=ランニングコストが必要不可欠です。生産管理システムを導入することにより、QCDの観点でどの程度改善されるか、またランニングコストを上回る収益を達成できるか否かの試算に関しては、導入を決める打ち合わせにて、しっかりと検討しておく必要があります。
業務フローの見直し、マニュアル・手順書の整備とそれを用いた従業員教育、および従業員への周知が必要であること
生産管理システムを導入するということは必然的に業務フローを見直すことになりますが、大事なことはシステム導入の目的は業務のQCDを向上させ顧客満足度を上げること。間違っても生産管理システム導入ありきになってはいけないということです。生産管理システムだけでなくシステムを導入する企業にとって、いつの間にか目的が”そのシステムを導入すること”となってしまうこと、つまり目的と手段が混合されるケースはよくあること。こうなっては本末転倒です。まずは目指すべき業務フローを明確に定義した上で、それを達成する生産管理システムの導入を検討することが重要です。
次に生産管理システムを使用する従業員のためにマニュアル・手順書を整備することを忘れてはいけません。せっかくコストをかけてシステムを導入したとしても、それを使用するのは人間です。生産管理システムの導入と併せて、マニュアル・手順書を確実に整備し、それを用いて従業員教育を徹底しましょう。
最後は生産管理システムの必要性を従業員に周知することです。これは、”導入によって会社や工場が何を目指すか” や、 “生産管理システムを導入することで課題がどのように解決するか、QCDがどのように改善されるか”を説明する取り組みです。この周知・徹底により、生産管理システムを実際に使用する現場の従業員が会社の思い・指針を十分に理解すること、および目的を共有することに繋がり、生産管理システムの導入およびその後の運用、業務フローの変革がスムーズに進むことでしょう。
まとめ
- 生産管理システムとは何か
- 生産管理システムのメリット、デメリット
- 生産管理システムを導入する際の注意点
といった観点で紹介いたしました。
本記事を通じて、あなたの会社や工場が、最適な生産性管理システムを導入することができ、品質の向上、生産性のアップやコストの削減、および製造工程の期間短縮による納期の短縮を達成いただけるよう祈念しております。
今回もお読みいただきありがとうございました!