2021年版オフショア開発とは?現在のメリットと課題を解説

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情報システムやソフトの開発を海外事業者などにアウトソーシングするオフショア開発。コストカットや業務効率化を理由に多くの企業が導入しています。国内では2000年代から本格的にスタートしたオフショア開発ですが、時代の移り変わりとともに、内容や必要性、課題にも変化が見られます。そこで今回は、オフショア開発のイロハから現在におけるメリットや課題について解説します。

オフショア開発とは

オフショア開発とは、自社でまかないきれないソフトやシステム開発業務のすべてや一部をコストが安い海外事業者や子会社にアウトソーシング(外部委託)する手法のことを指します。委託業務は、データ入力や動画作成などの簡単な業務からWebアプリ・サービス、ゲームをはじめとするモバイルアプリの開発やテスト工程にいたるまでさまざまです。また2010年代に入り世界的にデジタル化の波が本格化すると、AI(人工知能)やVR(仮想現実)、さらに5Gの普及にともなってIoT(モノのインターネット)を駆使したシステム開発の委託も増加傾向にあります。
オフショア開発が台頭してきた背景には、国内のIT人材不足とコストカットや迅速な開発業務の必要性があげられます。
少子化やIT教育の機会不足などに起因する国内のIT人材不足は、非常に深刻です。経済産業省の試算では、2030年にはIT人材の不足数が45万~79万人にものぼると指摘されています。すでにその片鱗は色濃く見え始めており、国内ではIT人材へのコストが高騰しています。よって、自ずと人件費が安い海外委託に注目が集中。また、海外の方が小回りのきくエンジニアの数が多いため、こなせる業務量も国内より格段に多く、ソフトやシステムの開発から実装までの迅速化が実現しやすい点も見逃せません。
もちろん、安かろう悪かろうでは意味がありません。また早ければいいという問題でもないでしょう。オフショア開発が意味をなすのは、「確実なコストカット」と「満足のいくクオリティ」が担保されてこそです。逆にこれらの条件が揃わない場合は、オフショア開発の導入そのものを見直す必要もあるでしょう。

どんな国に委託するのか


オフショア開発は、どの様な国に向けて行われているのかについて見ていきましょう。
オフショア開発の委託先は、主にアジア諸国になります。具体的には、ベトナム、フィリピン、バングラディッシュ、ミャンマーなどです。その理由は人件費の安さと優秀なITエンジニアが数多くいること。国内でオフショア開発がスタートしたのはインドからといわれています。その理由は、日本と時差が3時間半もあるため国内では就業時間外でも業務委託できることと、単価が低い優秀なエンジニアが多かったからです。また、中国への委託も多かったのですが、両国とも経済発展にともない人件費が高騰。結果として最近ではそれ以外のアジア諸国に注目が集まっています。
とくに近年、ベトナムとフィリピンは真面目な国民性と親日派が多いことから、オフショア開発の成功例が急増しており委託件数も増加傾向にあります。

どれくらいの企業が導入しているのか


オフショア開発は、日本企業の約45.6%が導入、とりわけIT企業においては60%にものぼります。その理由として、先ほど述べたIT人材の不足にくわえ、(IT人材の)ベンダー企業への著しい偏りも指摘されています。
具体的には、アメリカではIT人材の65%がユーザー企業(IT企業以外)、残りの35%がベンダー(IT)企業に所属しています。一方、日本では、ベンダー企業に72%、ユーザー企業にはわずか28%。つまり、アメリカでは情報システムやソフト開発が内製化できる企業が多くを占めるのに対し、日本はそれが難しく、外部委託せざるを得ないのが現状です。しかもこれはユーザー企業だけでなく、IT企業でも中小規模の場合は外部委託に頼らざるを得ないケースが散見されます。

オフショア開発のメリット

続いて、オフショア開発のメリットについて解説しましょう。オフショア開発のメリットは主に「コスト削減できる」「リソースの確保が可能」「納期を早められる」の3点です。具体的に一つずつ見ていきましょう。

コスト削減できる


オフショア開発は、一般的に賃金が日本の半分以下の国が対象となるため、大幅に人件コストがカットできます。よって全体の開発コストも低予算で実現でき、非常にメリットが大きいです。しかも2020年以降はコロナ禍となり、世界的にリモートワークの頻度や水準が上昇したことで、日本と海外との直接の往来がなくとも遂行できる仕事が増える傾向にあります。これにより出張費や研修費などの経費も大幅に削減できるので、とくに現在ではコスト面のメリットがより浮き彫りになっているといえるでしょう。

リソースの確保が可能


オフショア開発は、直接社員として雇用せずとも多くの海外の優秀なエンジニアを確保できる点も大きなメリットです。教育や生活水準の上昇と著しい経済発展による中国とインドのIT人材の育成ぶりには目を見張るものがあります。しかし、その他のアジアの国々でも年を追うごとに優秀なIT人材が増えています。しかも日本に比べて一人当たりの労働単価が安いため大量に人的リソースを確保できる点は、オフショア開発の大きな魅力でしょう。
また、ラボ型契約といって、海外に一定期間(長ければ年単位)専属のエンジニアチームが持てると、意思疎通の質が高まるだけでなく、業務や開発手法などの知見が蓄積されます。別のプロジェクトを始動する際にも余分な手間がかからず、速やかに連携してスタートが切れるのでメリットが大きいです。

納期が早められる


オフショア開発がとくに威力を発揮するのは、エンジニアが数多く必要な案件の場合です。先ほど述べた理由で低予算でも多くの人材を確保できるため、人海戦術で多くの人員を投入しなければならない開発作業やテスト工程にはオフショア開発がうってつけ。国内で開発するよりも大幅に納期を早められるので得です。

オフショア開発の課題

オフショア開発にはメリットが多い反面、注意すべき課題もあります。具体的には「本当に必要かを吟味する」「為替変動や政治的な影響を考慮する」「国民性の違いやコミュニケーション不足に配慮する」「契約するオフショア開発企業を見極める」の4点です。

本当に必要かを吟味する


冒頭でオフショア開発を行う条件として、「確実なコストカット」と「満足の行くクオリティ」の2点をあげました。これらの要素にブレがある場合は、オフショア開発そのものの必要性が疑われます。
とくに、中国やインドに見られる人件費の高騰の波が他のアジア諸国にも及んでくると、確実にオフショア開発に必要な予算は増加するでしょう。よって多くの大手IT企業のように外国籍の優秀なエンジニアを国内で採用する方が、結果としてコスパが良いかもしれません。ちなみにメルカリは、新卒エンジニアの9割が外国人、楽天のエンジニアも8割が外国籍です。この点を今しっかり注視することが大きな課題です。

為替変動や時差・政治的な影響を考慮する


オフショア開発が海外の企業を相手にする以上、為替変動の影響を受けないわけにはいきません。とくに円安局面においては支払う報酬金額が高くなるため、オフショア開発を行う時期や相手国は慎重に見極める必要があるでしょう。また時差があるので、とくに午前中に方針変更や重大なミスが発覚した際にリアルタイムで指示を出せないことも課題です。
さらに2021年に入り、ミャンマーでは国軍のクーデターによる混乱が新型コロナ流行に追い打ちをかけて深刻化しています。経済活動もままならない状態のため、日系企業も大きな影響を受けています。このようなことがあるとオフショア開発の成功もおぼつかなくなるので、政治情勢にも細心の注意を払うことが大切でしょう。

国民性の違いやコミュニケーション不足に配慮する


国民性の違いから、ビジネス慣行にも差が生じることがよくあります。例えば日本人なら納期の厳守や完成度100%を目指すのは当然です。ところが国によっては、納期への考え方が甘かったり、言われたことしかしない、という場合もあります。くわえて言語の違いによる意思疎通不足も課題です。よって、それらを見越してコミュニケーションを頻繁に行い、進捗状況をマメに確認するとか、相手に間違いなく開発意図が伝わるように高度な仕様書を作成するなどの工夫が必要でしょう。ときには、日本側と現地の作業チームの間で調整、報告などを担う経験値の高いブリッジSE(橋渡し役のエンジニア)を起用するのも賢明な方法です。

契約するオフショア開発企業を見極める


上記の内容にも通じますが、オフショア開発はどの国のどの企業に委託するかで結果はまちまち、まさに玉石混交です。よって、とくに最初は信頼のおける取引先から紹介してもらうとか、いきなり現地企業と契約するのではなく、想定している開発分野ですでに実績のある日本のオフショア開発企業やその現地法人との契約の方が無難でしょう。そのような信頼のおける委託先を見つけるのも重要な課題の一つです。

まとめ

オフショア開発とは何か?その基本から現在のメリットや課題について解説しました。
オフショア開発は、システムやソフトを開発するうえでコスト削減や業務効率化に大変役立つ手法です。しかしその一方で、クリアしなければならない課題があるのも事実。オフショア開発は成功が約束されたものではなく、慣習や言語の違いからコミュニケーションがうまくいかず想定通りに成果があがらないケースもあります。為替や政治情勢に左右されることもあるでしょう。
よって、まずオフショア開発ありきではなく、入念に調査、研究を重ねたうえでさまざまな選択肢のうちの一つとして考慮に入れる、というスタンスが重要です。人件費の安さに飛びついたもののプロダクトの品質が満足とはほど遠く、結果としてその後のビジネスにおいて良くない影響が出るとしたら本末転倒です。それなら、初期費用が多少多くかかったとしても、実績のある国内の開発会社に委託して「成果の出る」システムやアプリを作る方がコストパフォーマンスを高めることができるでしょう。
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サックルマガジン編集部

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